FacebookなどSNSで多くの人が注目している商品・サービスがあると、思わず見入ってしまうことは多い。武蔵野大学経営学部の松井彩子専任講師は、SNSでの「いいね」や「閲覧」の数が大きくなると、ユーザーが情報を拡散するようになり、情報収集や購買・利用意向も高まることを明らかにした。多くの人が同様な関心を持っていると、ユーザーが行動を起こすうえでの心理的な障壁が低くなるためとみられる。
調査・統計(詳細は会員専用)
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2024年04月
「いいね」「閲覧数」は、ユーザー行動に影響を及ぼす 武蔵野大学 松井 彩子
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UNICORN、イスラエル社と協業しデジタルサイネージの広告配信・効果測定
アドウェイズ(東京・新宿)の子会社で全自動マーケティングプラットフォームを運営するUNICORN(東京・新宿)は、デジタルサイネージの効果測定・簡易運用管理をSaaSで提供するParsempo(パルセンポ、本社エルサレム)と業務提携し、リテールメディア向け広告配信プラットフォームと統合型デジタルサイネージの提供を開始した。スーパー、ドラッグストアなどで店内サイネージへの広告配信の事例を増やし、食品・飲料や消費財メーカーを中心に導入を促していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
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2024年03月
エシカルな取り組み、ブランドとの結び付きを強める 弁護士 山下 瞬
SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりなどを背景に、人や社会・環境に配慮した消費行動「エシカル消費」が注目を集めている。日本公認会計士協会兼第二東京弁護士会調査室の弁護士である山下瞬氏はアンケート調査で、企業のエシカルな取り組みが、エシカル消費への関心の高さを問わずにブランドとの結び付きを強めることを明らかにした。
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2024年01月
コロナ禍から戻った日常の価値を再認識 佐藤 達郎 多摩美術大学教授
2023年はコロナ禍が明けて、生活者は日常の価値を実感した。佐藤達郎多摩美術大学教授は広告クリエイティブも、さりげない日常シーンのなかに商品の社会的価値を描いたものが支持されたとしている。広告の素材も、ユーザーから募集したメッセージやエピソードを使ったものが目立った。地球環境問題など「大きな社会課題」ではなく、生活者が身近に抱える「小さな社会課題」に寄り添ったテーマが選ばれており、2024年もその傾向が続きそうだ。
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2023年12月
『広研What’s HOT!』で協働のCCI、2023年下期のインターネット広告市場動向調査を開始
日経広告研究所が開設したウェブチャンネル『広研What’s HOT!』の初回協働相手であるCARTA COMMUNICATIONS(カルタ コミュニケーションズ、東京・中央区、略称CCI)が、「インターネット広告市場動向」調査について、2023年下期分を開始する。国内のデジタルマーケティング業界の関係者を対象に、2023年下期のインターネット広告市場についての動向や、今後の広告指標についての調査を行う。
(主任研究員 寺本勝俊)
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2023年10月
インフルエンサーの広告投稿、消費者の不信感を緩和 横浜商科大学准教授 渋瀬 雅彦
広告であると明示されたインフルエンサーの投稿は、消費者行動にどのような影響を与えるだろうか。横浜商科大学商学部観光マネジメント学科の渋瀬雅彦准教授は、Instagram上でのインスタント食品を対象としたアンケート調査によって、インフルエンサーの商業的意図を開示する便益タグは広告認識に影響せず、不信感を直接に減らす効果があることを明らかにした。
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2023年09月
販売終了までの残り時間、期間限定商品の購入意欲に影響 高崎経済大学准教授 三富 悠紀
期間限定商品の販売終了までの残り時間は、消費者の購買意欲に影響を与えるのだろうか。高崎経済大学経済学部経営学科の三富悠紀准教授は、スニーカーを分析対象としてアンケート実験をし、販売終了までの残り時間がほとんどない状況では、消費者は時間圧力を強く感じ、期間限定商品に対する希少性を高め、購買意欲が高まることを明らかにした。
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2023年08月
人生の残り時間が長いと感じる女性は、非消耗品の支出を控える 高知大学講師 磯田 友里子
どのような条件や意識がシニア層の消費に影響を与えるのだろうか。高知大学人文社会科学部講師の磯田友里子氏は、人生の残り時間への知覚である「未来展望」と、将来と現在の自分との心理的なつながりである「将来自己連続性」とが非消耗財の購買にどのように影響するかを分析した。その結果、購買活動がもっとも活発なのは「将来の自分とのつながりは強いが、残された時間は長くないと感じているシニア女性」であることを明らかにした。
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ダウンロードトップはマイナカードアプリ ~ モバイルアプリトレンド2023
モバイルアプリの計測・分析ツールを提供するAdjust(ベルリン)とモバイルデータアナリティクスプロバイダーのdata.ai(米サンフランシスコ)は、日本でのアプリ利用状況をまとめた「モバイルアプリトレンド2023」を発表した。2023年1~3月期のアプリのインストール数は、22年10~12月に比べて7%増えた。セッション数も着実に伸びている。アプリダウンロード数のトップはマイナンバーカードを利用する「Mynaportal AP」だった。
(主席研究員 渡辺正幸)
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2023年07月
エンゲージメント、満足度とロイヤルティを経由し購買行動に影響 同志社大学教授 髙橋 広行
ブランドと消費者との関わり合い(エンゲージメント)に注目が高まっている。同志社大学商学部の髙橋広行教授は、消費者の心理面でのデータにSPA(製造小売業)の購買行動データを組み込んで、エンゲージメントが購買に及ぼす影響を分析した。消費者のアプリ活用状況もモデルに取り入れた。エンゲージメントが満足度とロイヤルティを経由して、購買行動に影響していることなどを明らかにした。
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True Data、YouTube広告の実店舗における売り上げ純増効果が分かる検証サービスを開始
小売業の購買データを扱うビッグデータプラットフォーマーのTrue Data(トゥルーデータ、東京・港)は、実店舗でのYouTube広告の売り上げ純増効果を検証するサービス「Poswell」(ポスウェル)の提供を開始した。Googleが公開している統計モデル「Causal Impact」(コーザルインパクト)を使って、広告を配信しなかった場合の予測値と、実測値との差を売り上げ効果として算出する。YouTube広告に関心が高まるなか、日用品や飲料メーカーを中心に利用が広がるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
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2023年06月
推し活は幸福度を高める 甲南大学准教授 青木 慶
自分の好きな人物やキャラクターを応援するためにコンサートに行ったりグッズを買ったりする「推し活」は、タイアップ広告などで企業キャンペーンに幅広く取り入れられている。甲南大学マネジメント創造学部の青木慶准教授は、推し活を活動内容と頻度で4つに分類し、日ごろ活動に熱心な人ほど持続的幸福度が高くなることを明らかにした。
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2023年05月
視覚的なぬくもりは購買意欲を高める 千葉商科大学准教授 西井 真祐子
マーケターは、消費者に企業や製品に共感してもらえるように、さまざまな感覚に訴える情報を提供している。「ぬくもり」は消費者の感情を揺り動かす有効な切り口だが、直接に製品に触れさせなければ情報を伝えられないのだろうか。千葉商科大学商経学部の西井真祐子准教授は、ぬくもりを感じやすい素材を使った製品を見ることからも、消費者の購買意向が高まることを確認した。コロナ感染を回避する生活が続く中で、孤立感を抱きがちな消費者に寄り添って信頼を得ていくアプローチにつながりそうだ。
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2023年04月
SNSのスタッフコーデ、消費者の満足感向上に効果 大妻女子大学教授 吉井 健
アパレル企業はリアル店舗とEC(電子商取引)を融合させたオムニチャネル戦略の一環として、アパレル販売員を活用したSNSプロモーションを活発化させている。大妻女子大学家政学部被服学科の吉井健教授は、情報探索と購買方法で消費者を3タイプに分類したうえで、SNS情報が充実すると、いずれのタイプの消費者に対しても販売促進効果を高めることを明らかにした。
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2023年02月
アニメ聖地巡礼者の地域への関与度と行動動機―なぜ彼らはその地に行くのか 関東学院大学教授 岩崎 達也
映画、アニメなどの舞台を訪れる聖地巡礼が注目を集めている。政府も地域振興に役立てようと調査や施策を検討している。関東学院大学経営学部の岩崎達也教授は、聖地巡礼者について調査・分析し、自分の生き方を考えたり、他人に承認されたりしたいという動機が背景にあることを明らかにした。コンテンツを活用することで、聖地のある地域への複数回の来訪や移住を促す可能性があるとしている。
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2022年12月
中国人消費者の「観光土産品のリピート購買(連鎖消費)」促進のためのマーケティング・コミュニケーション 桃山学院大学教授 辻本 法子
外国人の入国規制が緩和され、中国人のインバウンド観光が復活しそうだ。訪日旅行者から観光土産を受け取った中国人がオンラインショップなどでリピート購入すれば、観光土産の需要拡大が期待できる。桃山学院大学経営学部の辻本法子教授は、訪日経験とブランド認知の有無で受け手を分類し、SNSで情報発信したくなる商品パッケージの開発などを提案している。
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2022年11月
ライブコマース、短い時間で引き付ける動画がポイント KDDI総合研究所 新倉 純樹
インターネットのライブ配信で商品を販売する「ライブコマース」が注目されている。KDDI総合研究所シンクタンク部門の新倉純樹コアリサーチャーは、ライブコマース利用者の特徴を6つの意識項目で分析した。利用者はライブ感を楽しむのが好きで、隙間時間によく視聴し、衝動買いしやすい傾向があることが明らかとなった。
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フィンテックアプリ、2022年上半期はセッション数13%増
モバイルマーケティング分析プラットフォームを運営するAdjust(アジャスト、本社:ベルリン)は10月26日、モバイルDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)のLiftoff Mobile(リフトオフ・モバイル、東京・渋谷)と共同で、モバイルアプリの利用動向をまとめた「モバイルアプリトレンド2022」を発表した。アプリのカテゴリー別では、フィンテックの2022年上半期(1~6月)のセッション数(訪問数)が前年同期に比べて13%増と、全カテゴリー平均の12%増を上回った。政府がキャッシュレス化を推進しているうえ、コロナ禍で消費者が非接触で決済するようになったことが背景にある。
(主席研究員 渡辺正幸)
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2022年08月
ファッション化されたエコバッグは環境配慮行動を促進するか? 京都橘大学健康科学部 前田洋光准教授
スーパーなどでレジ袋が有料化され、エコバッグを持ち歩く人が増えた。環境保全に対する意識の高さを周囲にアピールするかのような、しゃれたデザインのエコバッグも目立っている。京都橘大学健康科学部心理学科の前田洋光准教授は、ファッション化されたエコバッグが環境に配慮した行動を促す傾向があるとしたうえで、ゴミ問題の責任は自分にはないという「消費者責任の否認」も強める可能性があるとしている。
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2022年07月
動画広告、エシカル消費の低関心層に効果的 専修大学商学部 増田 明子教授
人権擁護、環境保護など社会的課題を結び付けて商品・サービスを購入するエシカル消費が話題となっている。一方、効果的な広告訴求として、ネットを中心に動画広告が拡大している。専修大学商学部の増田明子教授は、動画広告がエシカル消費にどのような影響を与えるかを調査した。その結果、動画広告は感覚的でシンプルな意思決定を促すため、エシカル消費への関心が低い層に効果的であることが明らかとなった。
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2022年06月
アフターコロナに有効な購買・予約のEC環境設計 高千穂大学准教授 永井竜之介
コロナ禍でEC(電子商取引)が拡大した。ECの利便性に慣れた消費者は、コロナが収束してもEC利用を減らさないだろう。物販に加えて、旅行、外食の予約などでもECの利用が活発化する。永井竜之介高千穂大学商学部准教授は、消費者のECでの意思決定について、悩まずに決めさせてくれる「コンシェルジュ型」と、迷うことを楽しませてくれる「脱出ゲーム型」に二極化していると分析する。ECの環境設計では、どちらのタイプとするか明確にすべきだとしている。
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2022年05月
自伝的懐かしさ、商品の購入判断に影響 県立広島大学教授 向居 暁
テレビCMで若いときの流行歌やニュース映像が流れ、思わず見入ってしまった経験があることだろう。県立広島大学地域創生学部の向居暁教授は、懐かしさ感情を自分の経験に基づく「自伝的懐かしさ」と、社会や文化を背景にした「文化的懐かしさ」に分けて、購買行動への影響を調査した。「文化的懐かしさ」はターゲット層を広げやすいが、「自伝的懐かしさ」のほうが購買意欲を刺激する可能性があるとしている。
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2022年04月
アスリート広告、ブランド拡張にも有効 國學院大學准教授 備前 嘉文
東京五輪、北京冬季五輪などアスリートの活躍が注目され、広告への起用も活発化しそうだ。國學院大學人間開発学部健康体育学科の備前嘉文准教授は、アスリートの知名度の高さ、人物のイメージが製品やブランドの特徴に合致すれば、高いマーケティング効果が期待できるとしている。アスリートの起用に際しては、ブランド管理のために十分な話し合いをしておくことが大事だと見ている。
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2022年03月
コミュニティの規範がファンを引き付ける 流通科学大学准教授 羽藤 雅彦
企業は顧客生涯価値に注目して、消費者をファンとして囲い込むコミュティづくりに力を入れている。コミュニティには独特のルール「規範」が生じて、ブランドやコミュニティに対する態度に影響を与えると考えられる。流通科学大学商学部マーケティング学科の羽藤雅彦准教授は、規範がコミュニティへの一体感の程度にかかわらず、ブランドやコミュニティへと結びつきを強めることを明らかにした。企業は規範を過度に心配せずに、コミュティ運営を進めるべきだとしている。
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2022年02月
SNS時代の動画広告、物語性で高まる訴求力 亜細亜大学専任講師 福田 怜生
新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅時間が長くなり、ネットでの動画広告が注目を集めている。亜細亜大学経営学部専任講師の福田怜生氏は、物語広告は比較的長い秒数が必要だが、商品説明に重点を置いた情報提供広告に比べて広告評価が高いことを明らかにした。SNSが普及し、企業は安く動画広告を出せるようになっており、物語広告の効果に注目すべきだとしている。
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2021年12月
SNS時代の苦情行動と対策 関西大学教授 池内 裕美
生活者がSNSで情報を発信するようになって、商品に対する不平不満が企業経営を揺るがす例も出てきた。関西大学社会学部の池内裕美教授は、苦情投稿の背景には社会に注目されたいという承認欲求などがあるとしている。企業が不満を恐れて商品の品質を高める結果、生活者の商品に対する期待が高まり、さらに不満を招くという苦情のスパイラルに陥る。企業は苦情が発生した場合、事実を確認するとともに、謝罪など迅速な対応が必要だと結んでいる。
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2021年11月
パーソナルデータ、利用促進のカギは経済的価値への向き合い方
私たちは個人情報を企業に提供することで、「おすすめ商品」を紹介してもらったり、関連広告を受け取ったりして、消費生活を充実させている。それでは個人情報には、どれくらいの経済価値があるのだろうか。静岡大学学術院情報学領域の高口鉄平教授は、個人情報の個別の経済価値を明示することはできないが、近年では価値を測る試みもなされており、また政府が展開する「情報銀行」では、提供によってどんなメリットが還元されるかが明確となり、個人が価値を実感しやすくなるとしている。
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2021年10月
インバウンド行動に見るGISのマーケティングへの応用
生活者の移動情報を分析してマーケティングに生かす動きが活発になっている。最近ではコロナウイルスへの感染拡大を防ぐ人流分析が話題となった。空間的な変化の分析にはGIS(地理情報システム)が利用される。高橋朋一青山学院大学経済学部教授にGISとは何かを解説するとともに、分析例として2017年にまとめた中国人の大阪市でのインバウンド行動を紹介してもらった。中国人はUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)周辺と大阪城周辺を中心に、広い地域を移動していることが明らかとなった。
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2021年09月
Z世代に刺さる広告の要諦は共感の形成が起点
2000年以降に生まれてインターネットで大量の情報に触れて育ったZ世代には、どのような広告が刺さるのだろうか。産業能率大学の小々馬敦教授はゼミ生との交流を通じて、Z世代は良いこと、悪いことのいずれについても「素直な情報」を知りたいと思っており、身近で信頼できるインフルエンサーによって情報を補完していることを見出した。広告には、メッセージが具体的で、共感しながら、自分らしさも表現できることなどが求められている。
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2021年08月
DP消費者利益保護法 依田高典・京都大学大学院教授
GAFAのデジタル経済の支配が進む中で、プラットフォーマーの市場支配力の行使を抑制する競争政策とプラットフォームの取引トラブルから消費者を守る消費者保護政策が両輪とならなければなりません。デジタル経済の競争政策としては、内閣官房デジタル市場競争会議が中心となり、プラットフォーマー取引透明化法が2020年6月に制定されたところです。他方、消費者庁では、デジタルプラットフォーム消費者取引検討会が合計12回開催され、2021年1月には、デジタル・プラットフォーマーの社会的責任を定め、危険商品の流通や消費者の泣き寝入りを予防する、消費者利益の保護をはかる新法の制定を求める報告書をまとめました。
(京都大学大学院経済学研究科教授 依田 高典)
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2021年06月
アマゾン景表法処分取消訴訟 依田高典・京都大学大学院教授
今回から、視点を変え、消費者保護の話題を取り上げます。消費者庁は、2019年から「デジタル・プラットフォーム消費者取引検討会」を合計12回開催しました。私はその座長として毎回3時間に及ぶ議論に参加し、消費者利益の保護をはかる新法の制定を求める報告書をまとめました。その際、議論になったのが巨大プラットフォーマーの社会的責任の有無です。
(京都大学大学院経済学研究科教授 依田 高典)
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デジタル広告市場 依田高典・京都大学大学院教授
2020年に成立したDP取引透明化法では、オンラインモールとアプリストアが取り上げられました。しかし、巨大プラットフォーマーの市場支配力を考えた場合、まだ他にも重要な検討分野があります。その最たるものがデジタル広告市場です。デジタル広告とは、利用者がWebサイトを閲覧した時に、広告を出稿する広告主と広告枠を販売するメディアの間を、プラットフォーマーがオークションの仕組みを用いて、リアルタイムでマッチングさせることで成り立っています。日本の広告費は6兆円を超えるが、デジタル広告は2019年にテレビ広告を抜き、約4割を稼いでいます。
(京都大学大学院経済学研究科教授 依田 高典)
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2021年05月
DP取引透明化法 依田高典・京都大学大学院教授
米国の巨大IT企業であるGoogle、Amazon、Facebook、Apple(GAFA)が世界のデジタル経済を席巻しています。現在、欧米はじめ、各国政府はGAFAの市場支配力を抑制するために精力的に競争政策を検討しているところです。GAFAはネットワーク効果を梃子として、プラットフォーム上で複数の市場を束ねるので、一つの市場支配力を中心に考える伝統的な独占禁止政策ではなかなか手に負えない悩みがあります。
(京都大学大学院経済学研究科教授 依田 高典)
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2021年04月
ネットワーク効果と両面市場 依田高典・京都大学大学院教授
世界中で存在感を高めるデジタル・プラットフォーマー。圧倒的な強さゆえに、独占への懸念がしばしば頭をもたげる。インターネット広告費の成長分のかなりの割合はデジタル・プラットフォーマーが占め、広告業界もその一挙手一投足から目を離せない。ユーザーの利便性と独占の弊害との兼ね合いをどう考えればいいのか。行動経済学が専門で、デジタル・プラットフォーマー規制のあり方を検討する消費者庁懇談会の座長を務める京都大学大学院の依田高典教授に、5回にわたり「デジタル・プラットフォーマーの経済学」を連載してもらう。1回目はネットワーク効果と両面市場。
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特サビのネット広告売上高3割強増額 20年は1兆1008億円
経済産業省は特定サービス産業動態統計調査の年間補正を実施した。その結果、インターネット広告売上高が補正前と比べて3割強増額された。2020年年間でみると、8344億円から1兆1008億円に膨らんだ。20年のテレビ売上高(1兆2744億円)に近づき、特定サービス産業動態統計調査でもインターネット広告売上高が勢いを増していることが浮き彫りになった。
(主席研究員 望月 均)
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新聞折り込み枚数、20年は23.5%減少 J-NOAセミナー
2020年の1世帯平均の新聞折り込み枚数は新型コロナウイルスの影響により、前年と比べて23.5%減とほぼ4分の3の規模まで縮小し、8年連続で前年割れとなった。日本新聞折込広告業協会(J-NOA)が3月にオンライン開催した第15回J-NOAセミナーで明らかになった。業種別では、折り込み枚数の半数近くを占める流通業が26.4%減と落ち込んだことが目を引く。
(主任研究員 上村浩樹)
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2021年03月
岐路に立つメガエージェンシー 成長事業の育成がカギ
新型コロナウイルスの感染拡大は、グローバルに広告活動を展開するメガエージェンシーの経営に大きな影響を与えた。浮き彫りになったのは、伝統的な広告業務だけでは成長の維持が難しくなっていることだ。既存の広告分野の収益力を高めながら、次代を担う成長事業をどう育成していくか――。各社は新たなビジネスモデルへの転換を迫られている。
(主席研究員 望月 均)
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2021年02月
21年度はテレビ6.9%増、ラジオ1.5%増 民放連研究所予測
日本民間放送連盟研究所は2月1日、2021年度のテレビ、ラジオ営業収入見通しを発表した。新型コロナウイルス感染拡大により悪化した国内景気が好転することを前提に、テレビ全体は6.9%増と予測した。このうちスポットは9.3%増、タイムは3.5%増としている。ラジオ全体は1.5%増えて、中短波は1.7%増、FMは1.3%増になるとみている。
(主任研究員 村上拓也)
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ネット広告の売上高は13.8%増 サイバーの20年10~12月期
サイバーエージェントは2020年10~12月期決算を発表した。インターネット広告事業の売上高は前年同期と比べて13.8%増加した。藤田晋社長は「広告事業は好調に推移している」と受け止めている。新型コロナウイルスの感染拡大が広告業界に重くのしかかる中、ネット広告最大手としての強みを発揮した格好だ。21年9月期も高い成長を見込む。
(主席研究員 望月 均)
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2021年01月
世界の広告費、21年は回復 GroupMは12.3%増 MAGUNA7.6%増
2021年は世界の広告費が回復しそうだ。WPPグループのGroupMは米国の選挙要因を除いた広告費が21年に12.3%増えると発表した。Interpublic GroupのMAGUNAは21年の広告費が7.6%増えると予測した。21年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が一段落し、世界的に企業の広告出稿意欲が高まるとみている。20年の落ち込みが急激だった分、21年は伸びが高くなる。
(主席研究員 望月 均)
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2020年10月
コロナ下、新たなライフスタイル模索 橋元教授に聞く㊦
コロナ前とコロナ後で生活者の行動や意識はどう変わったか――。緊急事態宣言がもたらす影響を調査した東京女子大学・橋元良明教授へのインタビューの2回目は、生活者の行動変化について。テレワークや休校が広がり、生活者は外出できないストレスや、経済面の不安を抱えた。一方で、時間にゆとりが持てるようになり、心の安らぎや気持ちの整理などに充て、新しいライフスタイルを模索する姿が明確になっている。
(主席研究員 望月 均)
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2020年09月
緊急事態宣言下、テレビが存在感増す 橋元教授に聞く㊤
コロナ前とコロナ後で生活者はどう変わったか――。「緊急事態宣言で人々の行動・意識は変わったか」(丸善出版)は、生活者の変化を克明に捉えた調査だ。調査を指揮した東京女子大学の橋元良明教授へのインタビューを2回にわたって掲載する。1回目はメディア利用について。コロナ下では「巣ごもり=ネット」という図式を思い浮かべがちだが、実際に存在感を増していたのはテレビ。それもニュース番組という結果だった。
(主席研究員 望月 均)
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2020年07月
MAGNAの世界広告費予測
米国のメガエージェンシー、IPGグループのMAGANAは、世界の広告費予測を発表した。新型コロナウイルス感染拡大による6月までの状況を反映した。それによると、世界の広告費は2020年に7.2%減少するが、21年には6.1%増と回復する。20年はデジタル広告を除く媒体広告が16%落ち込む一方、デジタル広告は1%増とプラスの伸びを確保する。
(主席研究員 望月 均)
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2020年06月
3月統計から影響表れる
新型コロナウイルスの影響が広告関連統計にも表れ始めている。経済産業省の特定サービス産業動態統計では、3月の売上高合計が前年比4.6%のマイナスに落ち込んだ。4月以降、さらなる減少となる可能性が強い。電通集計の4媒体業種別広告量では、外出制限の直撃を受けた交通・レジャーなど、一部業種の落ち込みが際立っている。
(主席研究員 望月 均)
[2020-06-02]
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コロナ危機下の広告活動 3月統計から影響表れる
新型コロナウイルスの影響が広告関連統計にも表れ始めている。経済産業省の特定サービス産業動態統計では、3月の売上高合計が前年比4.6%のマイナスに落ち込んだ。4月以降、さらなる減少となる可能性が強い。電通集計の4媒体業種別広告量では、外出制限の直撃を受けた交通・レジャーなど、一部業種の落ち込みが際立っている。
(主席研究員 望月 均) -
コロナ危機下の広告活動 新聞折り込み広告、4月は6割減
新型コロナウイルスの感染拡大は、新聞折り込み広告にも大きな影響をもたらしている。2月下旬から目に見えて折り込み枚数が減少し、3、4月と月を追うごとに悪化した。4月の首都圏の折り込み枚数(速報値)は前年と比べて61.5%減り、東日本大震災以来の落ち込みとなった。
(主任研究員 上村浩樹) -
2020年02月
テレビ、ラジオとも1.1%減
日本民間放送連盟 研究所は1月31日、2020年度のテレビ、ラジオ営業収入見通しを発表した。テレビ全体は1.1%減で、スポットは2.2%減、タイムは0.9%減とした。ラジオ全体も1.1%減で、中短波は1.3%減、FMは0.9%減になるとみている。
(主任研究員 村上拓也)
[2020-02-02]
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19年は2.6%に引き下げ
電通の海外本社、電通イージス・ネットワーク(DAN)は世界59カ国・地域を対象にした広告費予測を発表した。2019年の世界全体の広告費は欧州やアジア太平洋などが予想を下回ったため、2.6%増と前回予測よりも1㌽引き下げた。20年は東京五輪・パラリンピックや米国大統領選などのイベントに伴う広告需要増加を背景に、3.9%増の6154億㌦と11年連続の伸びを見込む。ただ、20年も前回発表時点と比べて0.2㌽下げている。
(主席研究員 望月 均)
[2020-02-01]
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2019年12月
ネット広告事業の再編が奏功
大手広告会社のインターネット広告関連事業の再編策が功を奏している。2018年から19年にかけてネット広告専業会社をグループ内に取り込んだことで、競争優位性を高めることができ、インターネット広告の売上高増加に結び付けている。テレビなどのマスメディア広告の需要が全体的に振るわない中、ネット広告の成長が大手広告会社の売り上げを下支えしている。
(主席研究委員 望月 均)
[2019-12-01] -
2019年10月
売り上げ効果は3.5倍に
デジタル広告の急成長により、広告媒体が多様化する中、読売新聞グループ本社は10月15日、消費者の購買に至るまでの行動をリアルなデータで分析する「小売業における広告効果測定調査報告会」を開催した。調査はタウマーケティングコンサルタンツや読売IS、東急エージェンシーと共同で実施した。小売業や通販業を対象に実施した結果を公表した。
(主席研究員 二瓶正也)
[2019-10-31]
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2019年09月
19年の米広告費上方修正
米中の貿易摩擦や中東情勢の緊迫化を背景に世界景気への不安が高まる中、米国のメガエージェンシーIPGのリサーチ会社であるMAGNAは、米国市場の広告費予測を上方修正した。2019年の成長率をこれまでの5.1%から6.3%とした。米国の個人消費が好調で、1-6月の広告費実績が想定よりも伸びたため。米大領選や東京五輪の特需が期待される20年も、5.8%から6.2%に引き上げた。
(主席研究員 望月 均)
[2019-09-30]
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国内広告需要、期待に届かず
電通は2019年12月期の連結純利益がこれまでの予想を256億円下回り、358億円になると下方修正した(国際会計基準)。前期と比べ60%の減益となる。国内の広告需要は期初に想定したほどの伸びを見込めない。海外は中国やオーストラリア市場の低調が響く。2020年にかけて東京五輪関連の広告需要が盛り上がるという見方は堅持している。
(主席研究員 望月 均)
[2019-09-01] -
2019年06月
19年3.6%増、20年4.1%増
電通イージス・ネットワーク(DAN)は世界59カ国・地域を対象に広告費を予測した。2019年の世界の広告費は前年比3.6%増と10年連続で伸び、過去最高を更新する見通し。ただ、世界経済に不透明感が広がっている上、中国やロシアの広告費の伸びにブレーキがかかり、前回調査した18年1月と比べ0.2㌽下方修正した。20年は4.1%の伸びを見込むが、こちらも前回より0.2㌽引き下げている。
(主席研究員 望月 均)
[2019-06-30]
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2019年03月
新聞折り込み、18年は4.4%減
日本新聞折込広告業協会(J-NOA)は3月に開催した第10回J-NOAセミナーで、2018年の1世帯平均の新聞折り込み枚数が前年比4.4%減少したことを明らかにした。ただ、17年の5.9%減と比べると減少率は縮小している。業種別にみると、17年に続いて不動産が10.4%減と落ち込みが大きかった。全体のおよそ半数を占める流通業は、小型スーパーや家電、カジュアル・衣料洋品、ドラッグストアが増えたのを除くと、他業態は減少した。特に自動車販売は12.8%減と低調だった。
(主任研究員 上村 浩樹)
[2019-03-30] -
2019年01月
19年3.8%増、20年4.3%増
電通の海外本社、電通イージス・ネットワーク(DAN)は世界59カ国・地域を対象にした広告費予測を発表した。2019年の世界全体の広告費は3.8%増の6250億㌦と11年連続で伸び、過去最高を記録する見通し。前回発表した18年6月時点と比べ、英国や中国の伸びを上方修正した。4.1%伸びた18年と比べて成長率はやや落ちるものの、20年は4.3%増と再加速するとみている。
(主席研究員 望月 均)
[2019-01-31] -
テレビ1.3%減、ラジオ1.2%減
日本民間放送連盟 研究所は1月31日、「2019年度のテレビ、ラジオ営業収入見通し」を発表した。テレビ全体では1.3%減(スポット1.9%減、タイム1.0%減)、ラジオ全体では1.2%減(中短波1.5%減、FM1.0%減)と予測している。
(主任研究員 村上拓也)
[2019-01-31]
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