日本アドバタイザーズ協会(JAA)は4月14日、事業説明会を開き、2023年度の活動方針を発表した。川村和夫 新理事長(明治ホールディングス 代表取締役社長 CEO)、中島聡 新専務理事の新体制のもと、行われた。13の委員会・プロジェクト等からも、各事業方針について説明がなされた。
(主席研究員 土山誠一郎)
2023年05月
日本アドバタイザーズ協会(JAA)は4月14日、事業説明会を開き、2023年度の活動方針を発表した。川村和夫 新理事長(明治ホールディングス 代表取締役社長 CEO)、中島聡 新専務理事の新体制のもと、行われた。13の委員会・プロジェクト等からも、各事業方針について説明がなされた。
(主席研究員 土山誠一郎)
マーケターは、消費者に企業や製品に共感してもらえるように、さまざまな感覚に訴える情報を提供している。「ぬくもり」は消費者の感情を揺り動かす有効な切り口だが、直接に製品に触れさせなければ情報を伝えられないのだろうか。千葉商科大学商経学部の西井真祐子准教授は、ぬくもりを感じやすい素材を使った製品を見ることからも、消費者の購買意向が高まることを確認した。コロナ感染を回避する生活が続く中で、孤立感を抱きがちな消費者に寄り添って信頼を得ていくアプローチにつながりそうだ。
サイバーエージェントは、AI(人工知能)で広告デザイナーのクリエイティブ制作を支援するシステム「極予測AI」の運用を本格化し、多くの実績を出している。デザイナーはAIを使って、ターゲットの属性やメディアに合ったコピー文例や素材を組み合わせてクリエイティブを作る。さらに作成したクリエイティブが既存の最も優れたクリエイティブを上回る広告効果を達成できるかどうかを予測して改善する。デザイナーの作業効率は大幅に高まり、クリエイティブの制作本数も増えている。広告に使う人物像、動画など素材もAIによって自動生成し、作業効率を一段と高めていく計画だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
地図情報を提供するジオテクノロジーズ(東京・文京)は、位置情報を使ったポイ活(ポイント活動)アプリ「トリマ」に広告配信を開始した。特定の地域に住むユーザーにお知らせやクーポンを配布する「トリマ広告ダイレクト」など4種類のメニューをそろえた。トリマの月間アクティブユーザーは全国で400万人に上っている。小売店の集客、飲料・食品メーカーの新製品キャンペーンなどに利用が広がるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
デジタル広告支援サービスのジーニー(東京・新宿)は、EC(電子商取引)などで購入直前に離脱したユーザーを復帰させるためのメッセージを自動作成するシステムを開発した。米オープンAI社の「ChatGPT」を組み込み、自社の事例データベースから作成する。社内コンサルタントが利用するほか、主要なクライアントにも提供していく。メッセージ作成のほかにも、全社を挙げてクライアントのデジタルトランスフォーメーション(DX)向上ツールに応用していく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
Data Chemistry(データ・ケミストリー、東京・港)は、電車内広告を見たユーザーが来店したり、ウェブサイトを訪問したりした集客効果や、テレビCMと電車内広告に重複接触したときの効果を測定するサービス「トレインクロス」の提供を開始した。インターネットに接続したテレビから収集したテレビ視聴ログデータと、ブログウォッチャー(東京・中央)が提供するアプリユーザーの位置情報データを組み合わせる。将来は逆に、高い広告効果が見込めるユーザーを選んで、デジタル広告を配信することも検討している。
(主席研究員 渡辺正幸)
新聞購読世帯の減少が続き、折り込み広告を取り巻く環境も厳しくなっている。折り込み広告大手の読売IS(東京・中央)は、折り込みチラシにQRコードを印刷してEC(電子商取引)サイトに誘導する販促パッケージ「折込コマース(仮)」を開発した。テストマーケティングを続けて、中小事業者向けに普及させる考えだ。読売IS社長室次長の中森正史氏に取り組み内容を聞いた。
(聞き手は主席研究員 上村浩樹)
「WARC GUIDE」は、2023年3月号で「Luxury marketing in an era of change」を特集した。そのなかから「What luxury means for US Gen Zs in a changing world」(ぜいたくは変化する世界にあって米国のZ世代に何を意味するのか)を紹介する。米国のZ世代は過去の世代に比べて生活の向上が期待できなくなり、消費に実用性と商品価値の裏付けを求めるようになった。ぜいたく品の購入にも当てはまり、企業はZ世代が投資対象として転売できる品質を備えた商品を提供すべきだとしている。
2023年04月
アパレル企業はリアル店舗とEC(電子商取引)を融合させたオムニチャネル戦略の一環として、アパレル販売員を活用したSNSプロモーションを活発化させている。大妻女子大学家政学部被服学科の吉井健教授は、情報探索と購買方法で消費者を3タイプに分類したうえで、SNS情報が充実すると、いずれのタイプの消費者に対しても販売促進効果を高めることを明らかにした。
AppLovin(米カリフォルニア州)は、日本でのアプリ開発者向け支援事業を拡大している。広告配信プロダクト「AppDiscovery」によってアプリユーザーを拡大するとともに、アプリの広告収入を増やす「MAX」を組み合わせて、アプリ開発者の収益を最大化する。機械学習によって、ユーザーごとに最適なアプリ広告を配信できる点に特徴がある。ゲーム、漫画、ポイ活のアプリを中心に利用が拡大している。
(主席研究員 渡辺正幸)
CARTA HOLDINGSグループでアプリ広告支援事業を展開するfluct(東京・渋谷)は、小売業のオウンドメディア向け広告管理ツール「リテールアドマネージャー」を開発した。小売業は自社アプリやEC(電子商取引)を利用する会員をターゲットとして、取引先の食品・飲食メーカーなどの広告を配信できる。スーパー、ドラッグストアなどで、オウンドメディアを広告媒体に利用する動きが活発化していることに対応した。
(主席研究員 渡辺正幸)
WAmazing(東京・台東)は、インバウンドマーケティングを支援する「訪日マーケティングパートナー事業」を開始した。台湾、香港などアジアからの訪日旅行者に対して、旅行中、その前後にわたって広告を配信する。特定の商品を購入した旅行者が再び日本を訪れる際に、同じ商品や関連商品の広告を配信できるサービスの導入も検討している。
(主席研究員 渡辺正幸)
博報堂は、売り上げ・成約データなどCRM(顧客関係管理)データがなくてもデジタル広告運用を見込み顧客へ最適化するコンサルティングサービス「DATA GEAR for Engagement」の提供を開始した。Google が提供するアクセス解析ツール「Googleアナリティクス4」(GA4)を導入している全企業に対して提供可能で、サイト滞在時間やPV(ページビュー)数などから独自ロジックによってビジネス価値が高いと想定される見込み顧客を見付け出す。広告予算が限られた企業でも導入しやすいのが特徴で、デジタル広告のすそ野を広げるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
2023年03月
文字を中心とするTwitter愛好者と写真や動画を中心とするInstagram愛好者とでは、意識や行動に違いがあるのだろうか。中央大学文学部の松田美佐教授が20歳を対象に調査したところ、Twitter愛好者は趣味がマンガやゲームで性格は内向的、Instagram愛好者は趣味がファッションや旅行で性格は外交的だった。ただ、交友関係や価値観に大きな違いがないことも考慮すべきだとしている。
電通デジタル(東京・港)は、運用型広告のクリエイティブ制作を支援するAI(人工知能)として「∞AI」(ムゲンエーアイ)を開発した。訴求軸発見から、コピー案生成、効果予測、改善案の提案まで一貫して対応し、KPI(重要業績評価指標)を達成できるようなクリエイティブの提供を目指す。メディア運用での入札・ターゲティングの自動化が進むなか、広告効果を高める新たなソリューションとして利用が広がるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC、東京・渋谷)は博報堂アイ・スタジオ(東京・千代田)と共同で、天気や花粉指数などの外部データとGoogle マーケティングプラットフォームの機能を活用してカスタマイズ広告を配信するサービス「MOMENT CREATIVE」(モーメント・クリエイティブ)を提供している。ユーザーが置かれた状況に合わせて広告を配信できるので、広告への注目度を高められる。今後はリッチクリエイティブを配信するユーザーを、機械学習を用いてセグメント化する新たなサービスも予定している。
(主席研究員 渡辺正幸)
花王は、生活者と直接につながる双方向デジタルプラットフォーム「My Kao」の運用を開始し、順調に会員を増やしている。暮らしに役立つ情報を提供するとともに、ECの機能も持たせた。今後はモニタリング体験の提供や、生活者とともに新製品の企画にも取り組んでいく。会員の閲覧履歴を分析して、興味・関心が高いと思われる商品をアクセス時に表示することも検討している。できるだけ早いタイミングに会員1,000万人を目指している。
(主席研究員 渡辺正幸)
NTTドコモはグループ企業D2C(東京・港)と共同で、dポイントクラブの会員基盤を活用した広告配信・分析サービスを開始した。事前に利用許諾を得たdポイント会員の属性、オンライン・オフラインの行動履歴などから、広告主のターゲットに見合った対象をセグメント化して抽出する。スマートフォンの位置情報を基に、小売店や商業施設への来場者の特徴も分析できる。将来は個人情報のセキュリティーを確保しながら、広告主の顧客データと突合して分析できるようにすることも検討している。
(主席研究員 渡辺正幸)
楽天インサイト(東京・世田谷)は、企業が持つユーザーデータと、楽天インサイトで蓄積している調査パネルのデータを連携させて、より詳細なユーザープロフィルを導き出す「データエンリッチメント」サービスに力を入れている。楽天グループが蓄積するオフライン購買データなども利用できるのが特徴だ。雑誌などの電子版メディアがユーザーの特徴を調べて、広告枠セールスに使う例が多い。様々なIDでデータ連携できるため、クッキー規制が強まるなかで受注拡大に弾みがつくとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
人流データ分析サービスのクロスロケーションズ(東京・渋谷)は、訪日外国人を対象とした広告配信サービスを一新した。Near Intelligence社(米カリフォルニア州)のグローバル位置情報データを利用して、訪日時だけでなく、前後にも広告を届けられるようにする。2022年10月に外国人観光客の入国制限が大幅に緩和されたのに伴って、インバウンド(訪日外国人)需要を取り込む動きが活発化していることに対応する。訪日客の近くにある店舗について、バナー広告を地図情報とともに提供するサービスも検討している。
(主席研究員 渡辺正幸)
シンフィールド(東京・千代田)は、広告主がインターネット広告に漫画を活用して集客効果を高める支援事業で実績を上げてきた。「マンガマーケティング」として商標登録もしている。2021年9月には広告主が自ら簡単に漫画を制作できる定額サービスも始めた。事業展開について谷口晋也代表取締役に聞いた。
(聞き手はジャーナリスト/研究員 永家 一孝)
日経広告研究所は2月初旬に、広告費予測と広告・マーケティングの現状と未来を解説する毎年恒例の「2023日経広研セミナー」を開催した。
(主任研究員 上村浩樹)
2023年02月
映画、アニメなどの舞台を訪れる聖地巡礼が注目を集めている。政府も地域振興に役立てようと調査や施策を検討している。関東学院大学経営学部の岩崎達也教授は、聖地巡礼者について調査・分析し、自分の生き方を考えたり、他人に承認されたりしたいという動機が背景にあることを明らかにした。コンテンツを活用することで、聖地のある地域への複数回の来訪や移住を促す可能性があるとしている。
コンテクスチュアル(文脈分析に基づいた)広告のGumGum Japan(東京・千代田)は日本国内で、配信設計の指針となり、配信結果を確認するための指標となる「コンテクスチュアル・インサイト・レポート」の提供を開始した。キーワードと文脈を分析して使って配信ターゲットを決め、CTR(クリック率)など効果指標を最適化することを目的として、PDCA(計画・実施・検証・改善)サイクルを回していく。2023年春には広告が実際に見られていた時間(アテンション)も測定できるようになり、インプレッション(広告が表示された回数)あたりの広告の質の向上を意識したキャンペーン企画がしやすくなる。クッキー規制が強まるなかで、コンテクスチュアル広告の利用拡大に弾みがつくとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
運用型テレビCMサービスを中心に「マーケティングプラットフォーム」を運営するノバセル(東京・品川)は、SNSマーケティング支援サービスのホットリンク(東京・千代田)と共同で、テレビCMとSNSマーケティングをセットにしたメニューの提供を開始した。広告効果の指標として、扱った商品・サービスのネット上での指名検索数を重視する。BtoCにとどまらず、タクシー広告などを加えて、BtoB向けサービスにも力を入れていく。
(主席研究員 渡辺正幸)
オプト(東京・千代田)は、楽天市場、アマゾン、Yahoo!ショッピングなど、複数のEC(電子商取引)モールを1画面で分析できるサービス「Oxcimβ版」(オキシム)を開発し、無料で提供を開始した。各モールのカテゴリー別売り上げや個別商品の売り上げ推定値などを分析できる。自社商品の閲覧数、CVR(コンバージョン率)、指名検索数などを他社と比較しながら、マーケティング施策を実行できる。現在、国内3大ECモール(楽天市場、アマゾン、Yahoo!ショッピング)を対象としており、今後は他のEC専門モールやSNSを加えて、EC市場の80%をカバーできるようにする。
(主席研究員 渡辺正幸)
デジタル広告のセプテーニ(東京・新宿)は2022年10月、ポストクッキー時代に対応したデジタル広告の新計測基盤「Precog Base」(プリコグベース)に、サーバー経由でユーザーデータの送信が可能な「LINE Conversion API」を新たに連携させた。Precog BaseではすでにGoogle、Facebookなどには対応済みだ。広告主はPrecog Baseを通じて、広告プラットフォームごとに異なるデータ接続仕様に対応でき、自社でエンジニアを抱える必要もない。広告の配信精度の向上も図れる。クッキー規制が強まるなかで、導入企業が拡大するとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
Mastercard CMOのラジャ・ラジャマナー氏は、最新マーケティング論をまとめた『クオンタムマーケティング』(日経BP)の発売を記念して、一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻の学生へオンラインで特別講義を実施した。AI(人工知能)、5Gなど新技術の台頭とデータの活用で、消費者にリアルタイムで広告を届けられる時代が近付いている。消費者インサイトに刺さる五感マーケティングが有効になるとし、先行例として、お金に変えられない人とのつながりを支援する「プライスレス」キャンペーンを紹介した。
(主席研究員 渡辺正幸)
TORIHADA(東京・渋谷)はSNSのショートムービーを軸として、企業のインフルエンサーマーケティング活動を支援している。なかでも若年層に人気のTikTokを使った動画制作、広告展開を得意とする。子会社を通じて、クリエイターの支援やコンテンツの品質管理にも力を注いでいる。卯木研也取締役COO(最高執行責任者)に、事業にかける思いや展望を聞いた。
(聞き手は主席研究員 土山誠一郎)
2023年01月
日経広告研究所 理事長 澤田 道隆
日経広告研究所は、「広告界2023年に向けて ―2022年回顧と2023年以降の展望―」と題して公開座談会を開催した。コロナ禍で生活者は家族を中心として人とのつながりを大事にするようになり、広告表現に反映されるようになった。睡眠など生活の質を高めることにも関心が高まった。Z世代には、「推し活」を切り口としたプロモーションも効果がありそうだ。小売業など大きな会員基盤を持つ企業が広告事業に参入する動きにも、注目すべきだとしている。
田中洋中央大学名誉教授は2022年の広告業界について、デジタル広告が成熟期に入り、グーグルなど大手プラットフォーマーの成長が鈍化してきたことを指摘した。個人情報を利用したターゲティング広告の規制が強まるなど、社会の広告の信頼性に対する関心も高まった。テレビなど既存メディア離れが進む一方、コネクテッドテレビのABEMAが話題となった。ただ、動画配信は早くも市場に飽和感が見えている。2023年は、リテールメディアなど新しい形態のメディアが台頭しそうだ。企業はメタバースの活用など、デジタル化の新たな変化への対応を急ぐべきだとしている。
佐藤達郎多摩美術大学教授は2022年の広告クリエーティブを振り返って、コロナ禍などに伴う社会課題を、取引先や消費者と一体となって乗り切ろうと呼びかける作品が注目されたとしている。他者との触れ合いが減るなかで、家族を中心として、感情を揺り動かすドラマ仕立ての作品も増えた。2023年は社会課題解決をテーマとしながらも、深刻になりきらない軽いタッチの作品、テクノロジーによる現実的な克服を扱った作品が台頭するとみている。
鈴木信二日本アドバタイザーズ協会(JAA)専務理事は2023年を展望して、デジタル広告はスマートフォンを主戦場して拡大が続くと予想する。小売業、金融などが会員データベースを利用して広告に参入する動きが活発化しそう。動画SNSのステマ疑惑が話題となるなど、安心・安全な広告への関心が高まっており、JICDAQ(デジタル広告品質認証機構)の活動支援にも力を入れていくとしている。
消費者庁は2022年9月に「ステルスマーケティングに関する検討会」を設置し、ステマ規制のための告示案と運用基準の方向性を明らかにした。新経済連盟は、行き過ぎた規制は企業のマーケティングを委縮させるとして意見を伝えてきた。企業とインフルエンサーなど第三者とが、どのような関係ならば投稿がステマに当たるのか、具体的な事例を示すべきだとしている。新経連に論点を聞いた。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
2022年12月
外国人の入国規制が緩和され、中国人のインバウンド観光が復活しそうだ。訪日旅行者から観光土産を受け取った中国人がオンラインショップなどでリピート購入すれば、観光土産の需要拡大が期待できる。桃山学院大学経営学部の辻本法子教授は、訪日経験とブランド認知の有無で受け手を分類し、SNSで情報発信したくなる商品パッケージの開発などを提案している。
ヤフー(Yahoo! JAPAN、東京・千代田)は2023年春、データクリーンルーム「Yahoo! Data Xross」(ヤフー・データ・クロス)の運用を開始する。カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)を提供するグループ企業、トレジャー・データ(東京・千代田)と連携した。クッキー規制が強まるなか、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告主が精度の高い効果測定をできるようにする。
(主席研究員 渡辺正幸)
CARTA HOLDINGSのグループ会社、DataCurrent(データカレント、東京・中央)は、ユーザーから許諾を得た個人データを企業間で安全に連携するソリューション「Anonymous Connect」(アノニマス・コネクト)の提供を開始した。ユーザーのメールアドレスなどファーストパーティー・データを、個人を特定できないように独自IDに変換して突合させる。ユーザーからのデータ利用の許諾状況を管理するツールを併せて提供する準備も進めている。プライバシー保護が強化されるなか、ユーザー像をクッキーに頼らずに高い精度で分析できるサービスとして普及させる方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
プライバシー保護ソリューションを提供するPriv Tech(プライブ・テック、東京・港)は、データ接続用IDソリューションのLiveRamp Japan(東京・港)との協業を開始した。企業が保有するユーザーのメールアドレスから独自IDを生成して、他企業の保有データと連携できるようにする。これまでデータ連携に利用されてきたクッキーが廃止される見通しとなり、プライバシーを保護しながらユーザーのデータを活用できるツールとして、小売業などに導入を促していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
食と暮らしのメディア「macaroni(マカロニ)」などを運営するトラストリッジは、その運営経験を基にしてウェブマーケティングのコンサルティング事業に力を入れている。アドテクを活用してネットメディアの広告収入の最大化を提案しているほか、2022年からはメーカーや小売業のオウンドメディアの改善やSNS(交流サイト)運営支援も始めた。大場義之社長に事業戦略を聞いた。
(聞き手はジャーナリスト/研究員 永家一孝)
「WARC GUIDE」は、2022年10月号で「Brand assets in a hybrid world」を特集した。そのなかから、「Do you have a sonic strategy? If not, read on…」(音を活用したマーケティング戦略に注目してみよう!)を紹介する。消費者はネットなどで音に接する機会が増え、企業は音楽を使ったマーケティングを再評価している。ただ、音楽はクリエイティブを優先するのではなく、あくまでブランドの特徴に合わせて選ぶべきだとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
日本広告学会第53回全国大会が11月11~13日、東海大学(神奈川県平塚市)を主催校として開催された。新型コロナウイルス(Covid-19)の影響を考慮し、2020年の第51回大会(江戸川大学)、昨年の第52回大会(関西大学)に続いて3年連続でのオンライン開催となった。「SDGsと広告のこれから」という大会統一論題のもと、広告主、広告会社、アカデミズムなど様々な立場から、社会的課題への接近と広告の役割について多角的な議論が展開された。
(報告:大会運営委員会委員長 小泉眞人)
2022年11月
インターネットのライブ配信で商品を販売する「ライブコマース」が注目されている。KDDI総合研究所シンクタンク部門の新倉純樹コアリサーチャーは、ライブコマース利用者の特徴を6つの意識項目で分析した。利用者はライブ感を楽しむのが好きで、隙間時間によく視聴し、衝動買いしやすい傾向があることが明らかとなった。
サプライサイドプラットフォーム(SSP)大手のPubMatic(Nasdaq:PUBM))はクッキー規制に対応し、広告主のユーザーデータと共通IDで接続するシステム「Connect」(コネクト)の対象に、インティメート・マージャ―(東京・港)の「IM-UID」を加えた。IM-UIDは行動履歴などからユーザーを類推して付与したIDで、広告配信先を大量に確保できるのが特徴だ。PubMaticが日本企業の開発した共通IDと接続するのは、これが初めて。IDソリューションを使った広告枠取引を普及させてシェアを広げる戦略の一環で、他の共通IDとの連携や事業の深化を進めていく。
(主席研究員 渡辺正幸)
電通と電通デジタル(東京・港)は、複数のデータクリーンルームを一元管理するシステム基盤「TOBIRAS」(トビラス)の提供を開始した。プラットフォームごとに仕様が異なるデータクリーンルームのデータを、同じ基準で分析できる。運用を担当する社員を育成するため、関連技術やプライバシー保護の法律を熟知していることを認定する「認定アナリスト制度」も導入した。ユーザー像の分析から、広告配信への接続、投資効果の測定、広告運用の最適化まで、デジタル広告を運用できるシステムとして顧客企業を開拓していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
モバイルアプリ計測大手のAdjust社(本社:ベルリン)は、ビデオリサーチ(東京・千代田)と連携し、地上波テレビCMがモバイルアプリのインストールにどれぐらい貢献したかを計測・分析できるサービスを開始した。広告主はAdjust社が提供する管理画面を使って、どのようなプラットフォームやメディアから、どんなクリエーティブに反応して、どれくらいのユーザーがアプリをインストールしたかを調べられる。先行してコネクテッドテレビのCMを通じたアプリインストールの計測・分析も始めており、アプリの利用を促す広告の市場拡大に弾みがつきそうだ。
(主席研究員 渡辺正幸)
広告枠を販売するSSP(サプライサイド・プラットフォーム)大手のプラットフォーム・ワン(東京・渋谷)は、共通IDソリューションを提供するID5(本社ロンドン)との連携を開始した。サードパーティークッキーを使わずに、高い精度を維持しながら、大きな規模で広告配信ができるのが特徴だ。広告枠を買い付けるDSP(デマンドサイド・プラットフォーム)が共通ID の導入を進めていることに対応した。扱う共通IDが増えることで、広告主のマーケティング戦略に合致したメディアを提案しやすくなるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
モバイルマーケティング分析プラットフォームを運営するAdjust(アジャスト、本社:ベルリン)は10月26日、モバイルDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)のLiftoff Mobile(リフトオフ・モバイル、東京・渋谷)と共同で、モバイルアプリの利用動向をまとめた「モバイルアプリトレンド2022」を発表した。アプリのカテゴリー別では、フィンテックの2022年上半期(1~6月)のセッション数(訪問数)が前年同期に比べて13%増と、全カテゴリー平均の12%増を上回った。政府がキャッシュレス化を推進しているうえ、コロナ禍で消費者が非接触で決済するようになったことが背景にある。
(主席研究員 渡辺正幸)
AJA(アジャ、東京・渋谷)は、インターネット回線でコンテンツ配信するOTT(オーバーザトップ)サービス向けに広告を配信している。企業や商品のブランドを損なわないように、質が高いコンテンツを配信する事業者を選んでいる点に特色がある。2022年2月には、コネクテッドテレビに特化した広告配信プラットフォームの提供を開始した。野屋敷健太社長に、OTT向け広告の現状と将来性について聞いた。
(聞き手は主席研究員 土山誠一郎)
「WARC GUIDE」は、2022年9月号で「Brand assets in a hybrid world」を特集した。そのなかから、「Building brand equity in an economic downturn: Five tactics beyond numbers」(不況下でのブランド・エクイティ構築 数字を超えた5つの戦術)を紹介する。不況色が強まるなかでマーケティング予算を確保するには、市場占有率などビジネス全体の視点に立って提案したり、消費者の悩みを解決するための具体的な方法を考えて提案したりすること重要だとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
2022年10月
近年、インターネット広告に影を落とす問題として、クッキーレスが話題になっている。本レポートの第1回では、クッキーレスがインターネット広告にもたらす影響や、完全な代替策がないことについて述べた。第2回では、クッキーレス環境下において、企業がインターネット広告に対する考え方をどのように変えていくべきか、対応策について紹介する。
ニールセンは2022年春、「ニールセン IDシステム」を日本に導入し、デジタル広告の測定を強化した。広告主は、グーグルをはじめとする海外の主要プラットフォームを含む、すべての主要媒体にまたがる広告キャンペーンリーチを統合し、「人」ベースで全体像の把握ができる。プライバシー保護に配慮しており、クッキー規制が強化されるにつれて、利用が広がりそうだ。アジア太平洋(APAC)地域トランスフォーメーション・リーダー、シニアバイスプレジデントのランジート・ローンガニ氏と、ニールセンデジタル社長の宮本淳氏に、デジタル広告測定や、開発段階の新サービスの内容や背景を聞いた。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
プロシューマー(生産活動をする消費者)支援事業を展開するファンコミュニケーションズ(東京・渋谷)は2022年8月、スマートフォン向け運用型広告配信システム「nend」(ネンド)において、Adjust社(本社:ベルリン)が提供するモバイルマーケティング分析プラットフォーム「Adjust」との連携を強化した。アップルのiOSの広告効果測定フレームワーク「SKAdNetwork」での広告効果の把握を効率的に実施できる。すでに広告効果の改善、アプリの売り上げ向上などの成果が出ている。さらに測定結果の可視化に工夫するなどして、広告主の利用を促していく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC、東京・渋谷)は、ユーザープライバシーに配慮した、より自由度の高い広告プランニングを実現するためのデータ分析基盤「WISE Hub」の提供を開始した。広告主や広告代理店は管理画面を使って、Googleなどプラットフォーム各社のデータクリーンルームを用いた分析結果を安価かつスピーディーに提供できる。広告配信先の絞り込みや、潜在顧客層の発見などデジタルマーケティングの支援ツールとして、利用が広がるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
改正電気通信事業法(電通法)によって、EC(電子商取引)モール、ニュースサイトなど一定のウェブサイトにクッキーポリシー掲載が義務付けられた。ウェブサイトは、クッキーによってユーザー情報の送信先リストを掲載し、オプトアウトしやすいように配慮する必要がある。ただ、規制内容はあいまいな部分が多い。新経済連盟に、電通法をどう評価し、どのような要望をしていくのかを聞いた。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
2022年09月
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、インターネット通販やWeb動画の利用が増大している。インターネット広告費は2021年に、マスメディア4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)を初めて上回った(電通「2021年日本の広告費」より)。しかし近年、インターネット広告に影を落とす問題として、クッキーレスが話題になっている。これまでインターネット広告の効果分析や効率的な広告配信は、クッキーによってユーザーを識別することで行われてきた。そのクッキーがプライバシー保護を重んじる世界の趨勢として、取得できなくなる。つまり、クッキーレス時代の到来である。本レポートでは、クッキーレスの背景やインターネット広告にもたらす影響と、その対応策について、2回に分けて紹介する。
AppsFlyer Japan(東京・渋谷)は、アプリ広告効果計測とマーケティング分析を、ユーザーのプライバシーを保護しながら取り組める、データクリーンルームの提供を開始した。メディアと広告主は、ユーザー単位で個人情報をやりとすることなく、データクリーンルームを通じて個人を特定しない方法でユーザーの行動を分析できる。SNSなどメディアは広告主に対して、ユーザー情報の提供を制限する傾向を強めている。AppsFlyerのデータクリーンルームを利用すると、メディアが制限した情報を補完できるため、分析精度が向上する。ゲーム会社を含む、幅広い業種の広告主が導入するとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
マイクロアドは、マーケティング支援サービスのmitoriz(東京・港)と提携し、レシートデータを利用した購買予測分析サービスを開始した。消費者を購買志向の違いによってきめ細かく分類し、小売店の特徴に合わせて、商品を買う可能性が高い来店客を対象とした販売促進策を打てるようにする。今後はデータの分析・加工が容易になるように改良を進め、顧客企業が管理画面を通じて自ら分析リポートを作成できるようにする方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
CARTA COMMUNICATIONS(CCI、東京・中央)は、クッキー規制が強化されるのに対応して、データマーケティングサービス「Data Dig」の一環として、位置情報を使ったデジタル広告・配信分析サービスを開始した。ブログウォッチャー(東京・中央)がアプリで収集したユーザーの位置情報と、グーグルのデータクリーンルームを組み合わせる。小売業などの広告主は、配信した広告によって自社店舗にどれくらい多くのユーザーを呼び込めたかを測定できる。オフラインの位置情報を取り入れたクリーンルームでの分析はまだ少なく、他の広告代理店とは異なるサービスとして顧客企業を開拓していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
世界的な広告配信事業者Criteo(クリテオ、本社パリ)は日本で、興味・関心を持つ可能性が高いユーザーに動画広告を配信する「Criteo動画広告」の提供を開始した。ユーザーのメディアでの行動データと広告主が持つ購買データとを組み合わせ、AI(人工知能)を使って的確に動画広告のターゲットを選び出す。飲料・食品、自動車などメーカーを中心に広告主を開拓する。Criteo動画広告は今後、動画クリエイティブのパーソナライズ化や動画広告から直接に購買できるようにすることを視野に、研究開発に力を入れ、機能の高度化も進めていく。
(主席研究員 渡辺正幸)
広告主とインフルエンサーをマッチングするプラットフォームを運営するトリドリ(東京・渋谷)の利用が増えている。中小企業・個人事業主を主な対象に、2020年3月から月額定額料金で運営を本格化した。SNS(交流サイト)へのPR投稿は、月間約2万件に達している。インフルエンサーとしての活動経験もある代表取締役CEOの中山貴之氏に聞いた。
(聞き手はジャーナリスト/研究員 永家一孝)
2022年08月
スーパーなどでレジ袋が有料化され、エコバッグを持ち歩く人が増えた。環境保全に対する意識の高さを周囲にアピールするかのような、しゃれたデザインのエコバッグも目立っている。京都橘大学健康科学部心理学科の前田洋光准教授は、ファッション化されたエコバッグが環境に配慮した行動を促す傾向があるとしたうえで、ゴミ問題の責任は自分にはないという「消費者責任の否認」も強める可能性があるとしている。
LINE(東京・新宿)は、米トレジャーデータと業務提携し、ユーザーのプライバシーを保護しながら企業のマーケティングニーズを満たす「データクリーンルームソリューション」の開発に乗り出した。これによって、例えばLINEで広告を見たユーザーが商品を実際に購入したかどうかを、トレジャーデータが提供する「Treasure Data CDP」内に格納された顧客データと突き合わせて分析し、これまで難しかった実購買データやオフラインコンバージョンへの広告貢献の可視化などが可能になる。広告主は精度の高い広告の効果測定が可能となり、LINEへの広告出稿の拡大につながるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
クッキーポリシーの掲載義務付けを盛り込んだ改正電気通信事業法が2022年6月13日、参議院で可決された。ニュース配信サイト、ECモールなどが対応を迫られる。改正法の検討会メンバーでもある、ひかり総合法律事務所の板倉陽一郎弁護士に、改正法でのクッキーポリシーの考え方について聞いた。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
AbemaTV(東京・渋谷)が運営する動画配信サービス「ABEMA」は2022年5月、インターネット動画を大画面テレビなどで見られるコネクテッドTVに特化した広告ソリューション「ABEMA Ads CTVパッケージ」の提供を開始した。性・年代などにターゲットを絞った広告配信から、広告を見てからのアプリダウンロード状況をはじめとした効果計測まで、様々なメニューを用意した。コネクテッドTVは市場が急拡大している。広告主の利便性を高めることで、広告需要の開拓にも拍車がかかるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
unerry(ウネリー、東京・港)は、生活者の移動をGPS(地理情報システム)、ビーコンなどで集めた「人流データ」を企業に提供している。生活者の買い物行動をAI(人工知能)で分析し、きめ細かく広告配信できることが特徴だ。企業だけでなく、地方創生事業など自治体での利用にも力を入れていく。内山英俊代表取締役CEOに、事業の特徴や抱負を聞いた。
(聞き手は主席研究員 土山誠一郎)
2022年07月
人権擁護、環境保護など社会的課題を結び付けて商品・サービスを購入するエシカル消費が話題となっている。一方、効果的な広告訴求として、ネットを中心に動画広告が拡大している。専修大学商学部の増田明子教授は、動画広告がエシカル消費にどのような影響を与えるかを調査した。その結果、動画広告は感覚的でシンプルな意思決定を促すため、エシカル消費への関心が低い層に効果的であることが明らかとなった。
DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)大手のインティメート・マージャー(東京・港)は、サードパーティー・クッキーデータを使わないターゲティング広告配信「IMポストCookieアドネットワーク」を拡大している。2021年8月に提供を開始し、2022年1月にはアカウントを持つ企業が100社を超えた。グーグルなどプラットフォーマーはクッキー規制を強めており、2022年4月には改正個人情報保護法が施行されて個人情報の厳格な管理が必要になった。同社は取引先企業に対して、「IMポストCookieアドネットワーク」への移行を促していく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
インターネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC、東京・渋谷)は2022年5月、サードパーティー・クッキーを使わずにターゲティング広告を配信するサービスを開始した。ファーストパーティー・クッキーをはじめとした様々なデータを使って共通のIDを付与する統合ID技術、「AudienceOne®ID」を利用する。今後はブラウザーのIDに加えて、アプリのIDも推定に利用するなどして、精度がより高く、配信数もより拡大できるようにする方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
調査大手のクロス・マーケティング(東京・新宿)は、ネット動画広告の配信用に属性や関心・興味で分類したセグメントから、最も効果が高いものを選び出す広告シミュレーターツール「Dipper」(ディッパー)の提供を開始した。ネット広告の精度を高めるために利用されてきたサードパーティー・クッキーが廃止される見通しとなり、機能を補う広告配信支援ツールとして事業会社や広告代理店に利用してもらう。今後はターゲティングの絞り込みに使う属性などを増やすほか、同社の調査パネルに広告を配信して効果を確認できるサービスも提供する方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
シャープマーケティングジャパン(大阪府八尾市)は2022年6月、デジタルサイネージ(電子看板)の視聴分析ソリューションの提供を開始した。ディスプレーに広告など様々な動画を映し出し、動画を見た通行者の数、性別、年齢をAI(人工知能)で解析してグラフ化する。通行者の顔認識など視聴分析用ソフトウエアには、ニューフォリア(東京・渋谷)が開発した「Vision Eye」を採用した。通行者の特徴の分析、反応がよい動画の選択などを通じて、効果的な広告配信ができる。既設のサイネージにも、機能を向上させるシステムとして導入を促していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
「WARC GUIDE」は、2022年5月号で「Connected TV」(コネクテッドTV)を特集した。その中から、「Five key tactics for optimizing advertising and measuring success across connected TV」(コネクテッドTVにおける 広告の最適化と指標測定のための5つの重要な戦略)を紹介する。コネクテッドTVは大画面で広告を表示できるうえ、ターゲティング技術によって効率的な広告配信ができため、広告主の注目度が高まっているとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
TVS REGZA(神奈川県川崎市)は2022年6月、薄型テレビ「レグザ」の新製品のCM放映を開始した。俳優小栗旬を起用して、画質と音質が高く、現実感のある映像を再現できることを強調している。キャッチコピーは「これが、リアルだ」とした。11月にカタールで開催されるサッカーワールドカップ2022に向けて、テレビ、ネットでの配信、店頭プロモーションを展開していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
日本広告学会クリエーティブ委員会主催の「クリエーティブ・フォーラム2022」が5月28日(土)、大阪市東淀川区にある大阪経済大学 大隅キャンパス(D館1階D11教室)にて開催された。3年ぶりに対面開催となる今回のフォーラムのテーマは、「今、広告に求められる笑い、面白み」。
報告者:大会副委員長 藤崎実(東京工科大学)、大会実行委員 峯尾圭(近畿大学)
2022年06月
コロナ禍でEC(電子商取引)が拡大した。ECの利便性に慣れた消費者は、コロナが収束してもEC利用を減らさないだろう。物販に加えて、旅行、外食の予約などでもECの利用が活発化する。永井竜之介高千穂大学商学部准教授は、消費者のECでの意思決定について、悩まずに決めさせてくれる「コンシェルジュ型」と、迷うことを楽しませてくれる「脱出ゲーム型」に二極化していると分析する。ECの環境設計では、どちらのタイプとするか明確にすべきだとしている。
AI(人工知能)で消費者の不満情報の分析サービスを提供するInsight Tech(インサイトテック、東京・新宿)は2022年5月、「不満買取センター」に寄せられた不満情報データを自由に検索して、任意の軸で解析できるサービス「不満ファインダー」の提供を開始した。新商品開発のアイデア収集、広告や売り場の反響、購入後の満足度などをパソコンで調べられる。すでに味の素に提供を開始した。様々なメーカー、金融機関、流通・小売業を中心に受注を開拓する方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
ジェイアール東日本企画(jeki、東京・渋谷)は2022年5月、JR東日本が開発・提供するSuica統計情報「駅カルテ」の販売パートナーとして販売を開始した。首都圏(1都10県)の約600駅について、乗降客数の性別、年代別、平日・休日別、時間帯別などのデータを月・年次で提供する。自治体の地域活性化策、企業のマーケティング活動などの基礎資料として売り込んでいく。jekiが請け負う販売促進キャンペーン、交通広告の提案にも活用していく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
楽天グループ(以下「楽天」)、楽天ペイメント、楽天Edy、楽天カードは2022年4月、西友とOMO(オンラインとオフラインの融合)での協業を本格化した。楽天カードとしてはスーパー業界で初となる、オリジナルデザインカード「楽天カード 西友デザイン」を発行した。また、西友の店舗でも使える「楽天ポイントカード」や「楽天ペイ(アプリ決済)」の決済機能を搭載し、店舗のキャンペーンやお得情報も提供する「楽天西友アプリ」も提供を開始した。楽天ポイントを軸とした買い物特典によって、楽天と西友の顧客基盤を融合させ、相互に売り上げを拡大できるとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
「WARC GUIDE」は、2022年4月号で「Scale-up brands」(ブランドを育てる)を特集した。その中から、「Five secrets to scale up success」(成功を拡大するための5つの秘訣)を紹介する。スタートアップ企業が先行企業に対抗してブランドを育てるには、消費者ニーズの中から自社の経営資源で取り組むべき領域を見出し、品質にこだわった製品を提供することなどが重要だとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
2022年05月
テレビCMで若いときの流行歌やニュース映像が流れ、思わず見入ってしまった経験があることだろう。県立広島大学地域創生学部の向居暁教授は、懐かしさ感情を自分の経験に基づく「自伝的懐かしさ」と、社会や文化を背景にした「文化的懐かしさ」に分けて、購買行動への影響を調査した。「文化的懐かしさ」はターゲット層を広げやすいが、「自伝的懐かしさ」のほうが購買意欲を刺激する可能性があるとしている。
インターネット地図検索や電子チラシサービスを提供するONE COMPATH(ワン・コンパス、東京・港)は、店舗情報や販促情報、クチコミデータの収集・分析を一元管理できるプラットフォーム「LocalONE」(ローカルワン)の提供を開始した。クチコミの分析サービスを提供するmov(東京・渋谷)と共同で開発した。グーグルマップの店舗情報、電子チラシサービス「Shufoo!」(シュフー)に掲載する店舗情報や販促情報を、1つの操作画面を通じて変更できる。消費者が投稿したコメントを分析して、店舗運営の改善に役立てることもできる。小売り、外食を中心に、2025年度までに売り上げ30億円、6万店舗への導入を目指している。
(主席研究員 渡辺正幸)
調査大手のマクロミルは、データコンサルティング事業の一環として、顧客企業が保有するデータの利活用支援サービスを拡大している。2020年9月に三井住友カードと業務提携し、同カードのキャッシュレス決済データを活用した分析サービス「Custella(カステラ)」のデータ利活用の支援を開始した。さらに2022年2月、「Custella」にマクロミルのアンケートシステムを連携させ、キャッシュレス決済の行動データに、アンケートによる意識データを付加できるようにした。カード加盟店や提携先企業を対象は、より精度が高いマーケティングの展開が可能となる。
(主席研究員 渡辺正幸)
ウェブサイトの売買プラットフォームを運営するサイトストック(東京・渋谷)は2022年4月、AI(人工知能)で企業価値を評価するVANDDD(バンド、東京・港)と業務提携し、サイト全般(ウェブサイト、ECサイト、SNSなど)をAI査定するサービスを開始した。コロナ禍で生活者のインターネット利用が拡大し、広告媒体としての価値が高まったサイトの売却を検討する企業が増えている。一方、既存サイトを買収して手早く事業を拡大したい企業も増えている。AIによってサイト価値の査定が簡単となり、M&A市場の拡大に弾みがつくとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
「WARC GUIDE」は、2022年3月号で「Net zero marketing」(脱炭素マーケティング)を特集した。そのなかから、“Washed Green” or “Transparent Grey”? Understanding why honesty pays off in environmental communication (「グリーンであると装う」か「グレーであることを隠さない」か? 環境コミュニケーションでは、なぜ「正直であること」が良い結果を生むか)を紹介する。企業は環境保全活動について、活動のベネフィットを強調しがちだ。しかし調査によると、ネガティブな事実を自主的に開示することが、企業の評価をむしろ高めることにつながるとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
2022年04月
東京五輪、北京冬季五輪などアスリートの活躍が注目され、広告への起用も活発化しそうだ。國學院大學人間開発学部健康体育学科の備前嘉文准教授は、アスリートの知名度の高さ、人物のイメージが製品やブランドの特徴に合致すれば、高いマーケティング効果が期待できるとしている。アスリートの起用に際しては、ブランド管理のために十分な話し合いをしておくことが大事だと見ている。
凸版印刷は、企業のファンマーケティングに関する施策全般を支援するサービス「ファンシェルジュ」を開始した。顧客企業に適したプラットフォームの選定・構築から、運用、効果測定まで、一貫して手掛ける。コロナ禍で店頭での集客が伸び悩んでいる小売業を中心に受注を拡大し、2022年度中に、関連受注を含めて売り上げ1億円を見込んでいる。
(主席研究員 渡辺正幸)
カルビーはスマートフォンアプリ「カルビー ルビープログラム」に、販売店検索システムを追加した。アプリ利用者は、話題の新商品やなじみの商品がどこで売られているかを、いつでも確認できる。カルビー製品の愛好者とのつながりを深め、長期にわたって商品を購入してもらう。さらに顧客の声を商品開発に生かしながら、それぞれの好みに合った新商品を薦めることができるように機能を高度化する方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
地域に根差した小売店や飲食店の魅力を発信する地域情報サイト「まいぷれ」を運営するフューチャーリンクネットワーク(FLN)は、各地のパートナー企業と組んで、掲載店を増やしている。2000年の創業以来、地域活性化を目的に事業展開してきた。21年8月の東証マザーズ上場をテコにして、システム開発や利用店へのウェブマーケティング支援を強化する。石井丈晴社長に、現在の状況と今後の展開を聞いた。
(聞き手はジャーナリスト/研究員 永家一孝)
「WARC GUIDE」は、2022年2月号で「Customer journeys in an omnichannel world」を特集した。そのなかから、「Using first-party data in omnichannel customer journey planning」(オムニチャネルにおけるカスタマージャーニー計画のためのファーストパーティーデータの活用)を紹介する。サードパーティーによるデータ収集が難しくなり、企業は自社で収集するファーストパーティーデータをマーケティングに活用する必要が出てきた。ファーストパーティーデータを収集する際には、消費者が協力することで購買体験が一段と快適になることを明らかにすべきだとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
2022年03月
企業は顧客生涯価値に注目して、消費者をファンとして囲い込むコミュティづくりに力を入れている。コミュニティには独特のルール「規範」が生じて、ブランドやコミュニティに対する態度に影響を与えると考えられる。流通科学大学商学部マーケティング学科の羽藤雅彦准教授は、規範がコミュニティへの一体感の程度にかかわらず、ブランドやコミュニティへと結びつきを強めることを明らかにした。企業は規範を過度に心配せずに、コミュティ運営を進めるべきだとしている。
クロスロケーションズ(東京・渋谷)は、位置情報が付いた広告配信IDを使って、特定の地点や地域への来訪者に継続して広告を配信するサービス「リアル人流DMP広告」を開始した。位置情報を使って生活者のし好や関心事を分析し、広告配信を通じて企業や商品のブランドとのつながりが強まるように、広告主の顧客育成を長期にわたって支援する。サードパーティークッキーの規制が強まるなか、精度の高い広告配信サービスとして需要を開拓していく。
(主席研究員 渡辺正幸)
東京メトログループの広告会社メトロアドエージェンシー(東京・港)は2021年12月、生活者の位置情報データプラットフォームを運営するunerry(東京・千代田)と共同で、東京メトロ利用者の行動分析サービス「行動DNAアナライザー」の提供を開始した。リアル行動ビッグデータを蓄積するunerryの「Beacon Bank」(ビーコンバンク)をベースに、東京で働くビジネスパーソン・生活者の行動を可視化・分析し、広告、販促イベント、商品・商業施設開発などのプランニングに役立てる。さらにウェブ上での購入データや閲覧履歴などの趣味し好データと組み合わせて、より精度を高めていく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
リチカ(東京・渋谷)は、デジタル広告の制作プラットフォーム「リチカ クラウドスタジオ」を軸として、企業の運用型広告のクリエーティブ作成を支援している。媒体社・プラットフォーマーとも連携し、的確で丁寧なコンサルティングを心がけている。松尾幸治代表取締役に事業の特徴や抱負を聞いた。
(聞き手は主席研究員 土山誠一郎)
日経広告研究所は2月10日、広告費予測と広告・マーケティングの現状と未来を解説する毎年恒例の「2022日経広研セミナー」を開催した。
(主任研究員 上村浩樹)
2022年02月
新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅時間が長くなり、ネットでの動画広告が注目を集めている。亜細亜大学経営学部専任講師の福田怜生氏は、物語広告は比較的長い秒数が必要だが、商品説明に重点を置いた情報提供広告に比べて広告評価が高いことを明らかにした。SNSが普及し、企業は安く動画広告を出せるようになっており、物語広告の効果に注目すべきだとしている。
ローソンは2022年3月、会員の価値観に合わせた広告を、レシートやアプリに配信するサービスを開始する。会員の購買データ、性・年齢などから関心のある商品分野をAI(人工知能)で分析して、販売促進キャンペーンの効率を高める。初年度は100品目程度の商品について、レシート200万枚の広告配信を目指す。ローソンを長く利用するファンづくりにもつながると見ている。
(主席研究員 渡辺正幸)
データ技術サービスのSupership(スーパーシップ、東京・港)は、KDDIと共同で2022年1月、クッキーを使わない広告配信システムの提供を開始した。ウェブサイトやアプリを閲覧した際に、一度だけ使う広告配信用IDを発行して、利用者の属性などに合った広告を配信する。英ノバティック社の技術を導入して実現した。利用者は追跡されることなく広告を受け取ることができ、広告主は精度が高い広告を配信できる。Supershipでは、クッキーレス時代の有力な広告配信プラットフォームに成長すると見ている。
(主席研究員 渡辺正幸)
巨大な仮想空間、メタバース関連のスタートアップ企業HIKKY(東京・渋谷)は、世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を運営、メタバースの拡大に貢献する。同時に、ハンディのある人を積極的に採用、働き方改革にも一石を投じている。取締役社長CEOの舟越靖氏に、メタバース市場の将来性と自社の取り組みについて聞いた。
(聞き手は研究員 岡崎昌史)
2022年01月
日経広告研究所は「広告界2022年に向けて ―2021年回顧と2022年以降の展望―」と題して、公開座談会を開いた。相次ぐ自然災害を背景に、環境問題が生活者の身近な関心事となった。投資家はESG(環境・社会・企業統治)を重視するようになり、広告にも反映させる必要が強まった。テレビとデジタルの融合が進み、広告主はコネクテッドテレビや番組のデジタル配信の動向を注視している。2023年のサードパーティークッキー全面禁止をにらみ、自社サイトの拡充も課題になっている。
公開座談会のプレゼンテーションで田中洋中央大学ビジネススクール教授は、コロナ禍による在宅勤務や巣ごもりの影響で、若い層を中心にテレビ離れが進み、ネットへのシフトが起きている現状を報告した。注目されているZ世代は環境問題への関心が高い。ネットに親しみ、SNSの動画を通じて共感を広げている。TikTokの投稿からヒット商品が生まれている。2023年のサードパーティークッキーの全面禁止による影響に注意すべきだとしている。
公開座談会のプレゼンテーションで佐藤達郎多摩美術大学教授は、コロナ禍で苦境にある人たちを励まそうという広告クリエーティブが共感を呼んだとしている。バーのシャッターに広告を描いたハイネケンの作品を例に挙げた。国内では、そごう・西武のレシートを素材とした広告を挙げた。そごう・西武の作品は、コロナ禍後の旅行などを楽しみにした人々の買い物の記録で、百貨店としてのパーパス(存在意義)が「希望を売る」ことである点を明らかにした。
公開座談会のプレゼンテーションで鈴木信二日本アドバタイザーズ協会(JAA)専務理事は、コネクティドテレビの普及で、インターネット動画がテレビで視聴されるようになったこと、見逃し配信、同時配信、追っかけ配信など、新しいチャレンジが進み、広告をどう扱うべきかが議論されるようになったと述べた。デジタル広告の信頼性向上に取り組む組織として、デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)が発足した。SDGs(持続的な開発目標)など企業の社会課題に対する取り組みを、どう情報発信していくかが課題になっているとしている。
2021年12月
生活者がSNSで情報を発信するようになって、商品に対する不平不満が企業経営を揺るがす例も出てきた。関西大学社会学部の池内裕美教授は、苦情投稿の背景には社会に注目されたいという承認欲求などがあるとしている。企業が不満を恐れて商品の品質を高める結果、生活者の商品に対する期待が高まり、さらに不満を招くという苦情のスパイラルに陥る。企業は苦情が発生した場合、事実を確認するとともに、謝罪など迅速な対応が必要だと結んでいる。
トランスコスモスは、EC(電子商取引)モールの診断・分析サービス「MallMAX Scope」の提供を開始した。ECモールに出店する企業は分析結果を元に、ページの改善や広告運用の強化によって売り上げを最大化できる。アマゾン、楽天市場向けにサービスを開始しており、Yahoo!ショッピング、PayPayモールにも順次拡大する。年間50社の受注を見込んでいる。
(主席研究員 渡辺正幸)
テキスト分析を使って新商品や新規事業の開発を支援するInsight Tech(東京・新宿)は、映像制作のビジュアルボイス(東京・渋谷)と提携し、企業や自治体のブランディング用動画「Branded Movie」(ブランディッドムービー)の受託を開始した。サービス名称は「Branded Cinema Voice」。AI(人工知能)を使って生活者のコメントを分析し、ストーリー仕立てで、共感を得られやすい作品を提供する。1年程度で5~10社の受注を目指す。
(主席研究員 渡辺正幸)
LINEは、飲食店、小売店など店舗業態への支援サービスを強化する。LINE上で予約が完結できる「LINEで予約」、LINEから配信するデジタルチラシ「LINEチラシ」、テーブルオーダーや順番待ち機能がLINE上でできる「LINEミニアプリ」などのサービスを提供して、新型コロナ収束後の集客を支援してきた。2021年11月には店舗スタッフが「LINE公式アカウント」を通して情報発信やチャットによるオンライン接客ができる「LINE STAFF START」を開始した。企業がLINE公式アカウントの関連サービスの使い方を学べるサービスも提供し、業務用ツールとして普及に努めていく。
(主席研究員 渡辺正幸)
SEO(検索エンジン最適化)やコンテンツ制作を手掛けるサクラサクマーケティング(東京・渋谷)は、「SEO研究所 サクラサクLABO」と名付けたサイトで、ウェブマーケティングについての豊富な支援情報を無料で提供している。中小企業が主な対象で、顧客獲得につなげる。親しい語り口で情報発信を続ける取締役社長COOの根岸雅之氏に聞いた。
(聞き手はジャーナリスト/研究員 永家一孝)
「WRAC GUIDE」は10月号で「Brands and the creator economy」を特集した。そのなかから「Influencing the influencers: Exploring the creator」を紹介する。eスポーツやゲームのクリエーターはライブストリームでのコミュニティーとのつながりに特徴があるため、マーケティング効果のKPIは同時視聴者数や視聴時間で測定すべきだとしている。コミュニティーは様々な地域にまたがるので、1つのスポンサー契約で複数の地域に向けたキャンペーンも可能となる。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
日本広告学会第52回全国大会が11月19~21日、関西大学(大阪府吹田市)を主催校に開催された。新型コロナウイルス(Covid-19)の影響を考慮し、昨年の江戸川大学における第51回大会に続いてオンライン開催となった。「GAFA時代の広告」という統一論題のもと、21世紀初頭のデジタル広告の新秩序を世界規模で形成したGAFA(Google、Apple、Facebook=現Meta、Amazon の4社)と呼ばれるいわゆるプラットフォーム企業が果たしている役割と将来像について、さまざまな立場、視点から広告研究の新たな枠組みが議論された。
(報告:第52回全国大会運営委員会)
2021年11月
私たちは個人情報を企業に提供することで、「おすすめ商品」を紹介してもらったり、関連広告を受け取ったりして、消費生活を充実させている。それでは個人情報には、どれくらいの経済価値があるのだろうか。静岡大学学術院情報学領域の高口鉄平教授は、個人情報の個別の経済価値を明示することはできないが、近年では価値を測る試みもなされており、また政府が展開する「情報銀行」では、提供によってどんなメリットが還元されるかが明確となり、個人が価値を実感しやすくなるとしている。
ネット広告大手のサイバーエージェントは、小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を本格化している。企画からアプリ製作、購買データ分析、広告配信まで一貫したサービスを提供できるのが強みだ。すでにファミリーマート、ヤマダデンキなどの販売促進で成果を上げている。DX事業を担当する宮田岳インターネット広告事業本部執行役員に事業戦略を聞いた。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
ヤフー(Yahoo! JAPAN)は、「Yahoo! MAP」で地図上からクーポンを検索できる「クーポンマップ」機能の提供を始めた。利用者は位置情報を使って、自分の近くにある外食店のクーポンを取得できる。9月の開始時点で19ブランド、全国約1万2,000店舗が対象だ。テーマ別に地図上で情報を提供するサービスは、「新築マンションマップ」「新型コロナワクチンマップ」「ラーメンマップ」に次いで4番目。生活者のニーズに沿って、さらに地図を使った情報提供を増やしていく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
ガラパゴス(東京・千代田)は、AI(人工知能)技術を使って効果的なデザインの広告を提供している。勘や経験に頼らずに、データによってデザインを決められる。プランニングに必要なデータ整備にもAIを利用することを検討している。中平健太社長に事業の特徴や抱負を聞いた。
(聞き手は主席研究員 土山誠一郎)
「WRAC GUIDE」は9月号で「Conscious media investment」を特集した。そのなかから「Back to the future: How quality media can save advertising」を紹介する。犯罪を肯定したり、わいせつな画像を掲載したりする、不適切なコンテンツやサイトに広告を配信して、広告主のブランドを損なう例が後を絶たない。品質の高いウェブページを選んで広告を配信することで、ブランドを守り、費用も削減できるとしている。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
2021年10月
生活者の移動情報を分析してマーケティングに生かす動きが活発になっている。最近ではコロナウイルスへの感染拡大を防ぐ人流分析が話題となった。空間的な変化の分析にはGIS(地理情報システム)が利用される。高橋朋一青山学院大学経済学部教授にGISとは何かを解説するとともに、分析例として2017年にまとめた中国人の大阪市でのインバウンド行動を紹介してもらった。中国人はUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)周辺と大阪城周辺を中心に、広い地域を移動していることが明らかとなった。
店頭向けデジタルサイネージ(電子看板)サービスを提供するCookpadTV(東京・品川、今田敦士代表取締役)は6月、同社端末を設置するスーパーが独自に広告を配信できるサービス「ADpop」を開始した。スーパーは食品メーカーの協力を得て、独自企画の販売促進キャンペーンを打てる。すでに約10社が利用している。企画づくりには三菱食品が協力する。今後はスーパーのアプリと連動したレシピを提供するなど、来店者の買い物体験をより楽しくするサービスを加えていく方針だ。
(主席研究員 渡辺正幸)
AI(人工知能)を使ったマーケティング支援サービスを提供するデータアーティスト(東京・港)は、企業サイトへの来訪者に対して、それぞれの興味・関心に応じたキャッチコピーを表示するサービスを拡大している。あるウエディングサービス会社では、コンバージョン率(CVR)を5割前後高めた。金融機関、人材会社など、様々な業種からの引き合いも増えている。より生活者のニーズに合ったキャッチコピーを作れるように分析精度を高めていくほか、キャッチコピーの自動生成技術を応用して企業がSNSで自動的に顧客とコミュニケーションできるサービスも開始する。
(主席研究員 渡辺正幸)
天気予報情報サービスのウェザーニューズ(千葉市美浜区)は、天気連動型広告を拡大している。スーパー向けには来店客が減る雨の予報に連動してクーポンを配布するなど、天気の変化に応じて広告を打つ。導入企業は累計で20社を超えた。2021年7月には生活者の関心が高まっている動画広告も開始し、受注増に弾みがつくとみている。
(主席研究員 渡辺正幸)
インターネットでのコンテンツ視聴が成熟化するなか、親しみやすく、情報発信力が高い2次元(2D)や3次元(3D)のキャラクターを使って生放送や動画を配信するバーチャルユーチューバー(Vチューバー)が話題となっています。広告などマーケティングでの利用も広がってきました。Vチューバーの開発・運用で実績のあるビークエスト(東京・渋谷)の小池淳一社長に、市場の将来性と自社の取り組みについて聞きました。
(聞き手は主席研究員 渡辺正幸)
2021年09月
2000年以降に生まれてインターネットで大量の情報に触れて育ったZ世代には、どのような広告が刺さるのだろうか。産業能率大学の小々馬敦教授はゼミ生との交流を通じて、Z世代は良いこと、悪いことのいずれについても「素直な情報」を知りたいと思っており、身近で信頼できるインフルエンサーによって情報を補完していることを見出した。広告には、メッセージが具体的で、共感しながら、自分らしさも表現できることなどが求められている。
NECは属性、行動履歴など事業者が持つ顧客データを利用して、生活者それぞれに合わせた動画コンテンツを作成できるサービスの販売を開始した。動画は説明力が高いうえ、対話型にして生活者の課題解決に踏み込んだ商品提案もできる。広告など販売促進策や、営業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に受注を開拓する。デザインや動画制作を扱うクリエーティブ会社、広告会社など関連企業との協力体制を整えて、年内にも具体的な事案を実現する見通しだ。
(主席研究員 渡辺正幸)
ログリーは、サイトの文章を分析して、利用者のし好や関心に合った広告を配信するコンテキストターゲティングを拡大している。広告主の希望する特徴などをキーワードとして設定したうえで、サイトの文章を文脈解析して関連する広告を配信する。このクッキーを使用しない新型配信ロジック「インテントキーワードターゲティング」を、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」に搭載した。「LOGLY lift」のインプレッション(広告表示回数)は、出版社、新聞社などパブリッシャーを中心に月間300億回に上る。さらに分析精度を向上させて、検索連動型広告並みの購買促進効果を実現する考えだ。
(主席研究員 渡辺正幸)
札幌に本社と制作拠点を置く動画制作会社Global Japan Corporation(GJC)はコロナ禍にあっても、コストパフォーマンスの良さを武器に受注を着実に拡大している。首都圏を中心に、企業がウェブサイトや営業で使うプロモーション動画や、YouTubeなどに配信する動画広告を制作している。2021年3月には大阪にも営業拠点を設けた。代表取締役の手塚康司氏に現状と展望を聞いた。
(ジャーナリスト/研究員 永家 一孝)
「WRAC GUIDE」は7月号で「The future of identity」を特集した。クッキー規制でサードパーティー・データを利用しないマーケティングが課題となるなか、ファーストパーティー・データの利用へとシフトして成果を上げている米ハイネケンの取り組みをまとめた「How HEINEKEN USA reduced reliance on third-party data」を紹介する。同社は自社顧客データと代理店が持つ外部データをまとめ、顧客とのつながりの強さに応じて3段階に分類。さらに顧客の属性情報も活用して、Eメールマーケティングなど新たな展開を検討している。
*「ADMAP」は2020年4月から、「WARC GUIDE」として生まれ変わりました。
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