調査・研究

有力企業の広告宣伝費 2020年版

2020-11-19 自主調査 2019年度の連結決算ベースの広告宣伝費は3年ぶりのマイナス

 日経広告研究所は2019年度の「有力企業の広告宣伝費」をまとめた。非上場の有力企業を含む3258社(親子上場の子会社分を除く)の連結決算ベースの広告宣伝費総額は6兆1275億円で、前年度比1.07%減少した。マイナスは3年ぶりで、米中貿易摩擦の激化などを背景に、自動車や電気機器などの輸出関連企業が広告宣伝費を減らした。一方、サービスや小売り、その他金融などの内需関連企業は広告宣伝費を増やした。20年2月以降、新型コロナウイルスの感染が拡大したが、19年度の広告宣伝費への影響は限定的だった。


 有力企業の売上高に占める広告宣伝費の割合は2.66%と、18年度と比べて横ばいだった。広告宣伝費の動向を業種別にみると、最も多かったのは自動車だが、前年度に比べて6.54%減少し、1兆856億円となった。2位はサービスで、5.02%増の9742億円と伸びた。3位の小売業は1.71%増の8526億円、4位の食品は0.99%増の7019億円、5位の電気機器は8.99%減の5939億円だった。


 連結決算の広告宣伝費ランキングは、1位が4708億円を計上し18年度比3.93%減のトヨタ自動車で、5年連続トップだった。販売台数は米国やアジアでは減少したが、国内は新車投入効果などにより増加した。2位はサントリーホールディングスで3858億円(前年度比1.51%増)、既存商品のリニューアルに加え、新商品が好調だった。3位はソニーで3594億円(前年度比6.76%減)だった。


 一方、単独決算ベース(非上場の有力企業を含む4308社を対象)の広告宣伝費は1兆8237億円となり、18年度に比べて0.34%増えた。単独決算ベースでは、楽天が786億円と18年度に比べて4.78%増やし、2年連続の首位であった。2位は花王で、0.32%増の429億円、3位のNTTドコモは45.96%増の390億円と前年7位から順位を上げた。


 調査は日本経済新聞社のNEEDS日経財務データを基にしている。集計対象は、有価証券報告書を提出し、その中で広告宣伝費を公表している企業。伸び率の計算では、18、19年度とも広告宣伝費を公表している企業に絞って算出した。


 新型コロナウイルスの感染拡大により、決算業務や監査業務を例年通り進めることが困難と金融庁が判断し、有価証券報告書の提出期限は9月末まで延長された。このため、有力企業の広告宣伝費の集計、発表は例年より2カ月遅れた。


 調査データの詳しい内容は、11月20日発行の『有力企業の広告宣伝費2020年版』(日経広告研究所編 定価15,000円+税)で発表しています。


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