調査・研究

2024年度の広告費予測/概要版(詳細版は会員専用ページで公開)

2024-02-07 国内広告費3.5%像  高い賃上げが消費拡大に追い風

日経広告研究所は2024年度の広告費が前年度に比べて3.5%増えるという予測をまとめた。高い賃上げと所得減税、給付金の支給が追い風となり、消費が上向くと予想される。


23年度からの円安で、輸出やインバウンド(訪日外国人)関連を中心に企業業績が回復しており、企業は広告費の増額に踏み切りやすい環境になっている。インターネット広告が広告費全体の伸びをけん引しそうだ。



国内広告費3.5%増


高い賃上げが消費拡大に追い風


 


日経広告研究所は2024年度の広告費が23年度に比べ3.5%増えると発表した。高い賃上げと所得減税、給付金の支給が追い風となり、消費が上向くと予想される。


 


23年度からの円安で、輸出やインバウンド(訪日外国人)関連を中心に企業業績が回復しており、企業は広告費の増額に踏み切りやすい環境になっている。インターネット広告が広告費全体の伸びをけん引しそうだ。


 


パリ五輪やNISA関連広告が増加、インターネット6.4%増


インターネット広告は6.4%増える。企業は省力化のためのデジタル化投資に引き続き積極的で、EC(電子商取引)プラットフォームでの広告や、アプリでのクーポン配布が拡大する。スマホや、テレビをインターネットに接続して視聴するコネクテッドTV向けの動画広告も増えそうだ。パリ五輪やNISA(少額投資非課税制度)に関連した広告も期待できる。


 


テレビ広告は23年度の2.4%減から24年度は0.2%増と増加に転じる。スポット広告は引き続き厳しいが、パリ五輪関連番組が編成され、タイム広告が堅調に推移する見込みだ。NISA関連で証券会社の出稿が増えそうだ。


 


新聞広告は5.0%減る。コロナ禍で増えた通販広告が減少する見込みだ。


 


雑誌広告は1.8%減となる。外出の増加により美容系の広告などは増えるが、雑誌販売部数が減少傾向にある。


 


ラジオ広告は0.9%増える見込みだ。イベント告知のスポット広告が伸びる。


 


交通広告は3.1%増える。駅構内でのデジタルサイネージの新設が続いている。


 


 


 


折り込み・ダイレクトメール(DM)は1.5%減る。折り込みは大型量販店の予算抑制が続く。DMは郵便料金の引き上げが響く。


 


SP・PR・催事企画は3.4%増を見込む。イベント、プロモーションの需要増が期待される。



予測値は日経広告研究所と日本経済研究センターが共同で開発した「広研・センターモデル」を使って算出している。広告費は国内景気と相関すると仮定し、財務省発表の「法人企業統計」の経常利益と内閣府発表の名目国内総生産(GDP)を説明変数として選び、このモデルに日経センターが予測する経常利益と名目GDPの伸び率を当てはめ、予測値を算出している。テレビ、新聞、雑誌、ラジオのマス4媒体や、交通、折り込み・ダイレクトメール、SP・PR・催事企画、インターネットの媒体ごとの伸び率は広告費全体の動きから予測している。


 


 


※「会員専用ページ」で、四半期ごとの媒体別広告費の伸び率や「広研・センターモデル」のベースとなる景気予測を盛り込んだ詳細版(PDFファイル)を公開しました。 (2月22日公開)