調査・研究

2023年度下期の広告費予測/概要版(詳細版は会員専用ページで公開)

2023-07-26 調査・研究 景気回復続き、2.6%増に。 予測を上方修正

日経広告研究所は2023年度の広告費が前年度に比べて2.6%増えるという予測をまとめた。2月時点の見通し1.5%増から上方修正した。海外経済が堅調に推移するなか、インバウンド(訪日外国人)需要がけん引し、日本経済は景気回復を続ける公算が大きい。



景気回復続き2.6%増に、予測を上方修正


日経広告研究所は2023年度の広告費が前年度に比べて2.6%増えるという予測をまとめた。2月時点の見通し1.5%増から上方修正した。海外経済が堅調に推移するなか、インバウンド(訪日外国人)需要がけん引し、日本経済は景気回復を続ける公算が大きい。


 


23年度は物価上昇の動きが広がっており、人件費や光熱費の上昇が商品・サービス価格に転嫁されると予想される。しかし、人流が回復したことや、コロナ禍で積み上がった家計の超過貯蓄が物価高の影響を小さくしたことから、消費は着実に伸びそうだ。


 


ラグビーワールドカップ(W杯)など大型スポーツイベントが開催されることから、企業の広告出稿は活発化する。テレビ広告や交通広告が増加に転じる。インターネット広告は安定した伸びが続く。広告費予測は経済産業省の特定サービス産業動態統計のデータを基にしている。


 


タイム広告が増加、テレビは1.4%増


媒体別にみると、2月時点で1.1%増えると見込んでいた23年度のテレビ広告が1.4%増に上振れする。タイム広告は22年度に東京五輪特需の反動で減ったが、23年度は大型スポーツイベントの開催を背景に回復する。番組と番組の間に流すスポット広告は、流通業など人流の回復の恩恵を受ける業種の出稿が増えそう。ラジオ広告は22年度と同じ売り上げを見込む。スポーツイベント告知が増えそうだが、スマートフォンでの聴取へのシフトが進む。


 


インターネット広告は6.8%増を見込む。ビジネスのデジタル化が進展し、EC(電子商取引)プラットフォームでの広告やアプリ内の広告・クーポンが増える。コネクテッドTVやショート動画への広告配信も伸びる。


 


新聞広告は4.0%減少する。コロナ禍での巣ごもり消費の反動で、通販広告が減る。部数減も影響する。雑誌広告も7.0%減が見込まれる。新聞・雑誌は、紙面とインターネットを融合させたコンテンツビジネスに注力している。



人流が回復、交通広告3.7%の伸


交通広告は人流の回復を受け3.7%増える。駅のデジタルサイネージや、空港、タクシーなどでの広告が活発化する。


 


23年度の折り込み・ダイレクトメールは2.0%減る。折り込みは資材費や光熱費の上昇で発行費用がかさみ、価格競争力が低下している。


 


SP・PR・催事企画は1.2%増加を見込む。民間向けのイベント、プロモーションの需要増が期待される。


 


予測値は日経広告研究所と日本経済研究センターが共同で開発した「広研・センターモデル」を使って算出している。広告費は国内景気と相関すると仮定し、財務省発表の「法人企業統計」の経常利益と内閣府発表の名目国内総生産(GDP)の2つを説明変数に選び、このモデルに日経センターが予測する経常利益と名目GDPの伸び率を当てはめ、予測値を算出している。テレビ、新聞、雑誌、ラジオのマス4媒体や、交通、折り込み・ダイレクトメール、SP・PR・催事企画、インターネットの媒体ごとの伸び率は広告費全体の動きから予測している。


 


※「会員専用ページ」で、四半期ごとの媒体別広告費の伸び率や「広研・センターモデル」のベースとなる景気予測を盛り込んだ詳細版(PDFファイル)を8月22日(火)(予定)に公開します。