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調査・研究

2020年度を見直し【詳細版は会員専用ページにて公開】

2020-07-29 調査 コロナの影響広がり、13.0%減少  テレビは14.8%減、ネットは微増確保

 日経広告研究所は2020年度の広告費が前年度に比べて13%減少するという予測をまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が停滞したため、企業は広告出稿を手控えるようになっている。特に、コロナの影響が直撃した交通・レジャーなどの落ち込みが目立つ。20年度はテレビ広告をはじめ、各媒体とも2ケタのマイナスが見込まれる中、インターネット広告は唯一、微増を確保する見通しだ。


 同研究所は毎年2月に翌年度の広告費予測をまとめ、7月に予測を見直している。経済産業省が毎月発表している「特定サービス産業動態統計調査」の広告業売上高を広告費のデータとして使い、四半期ベースで広告費を予測している。今回は20年4-6月期~21年1-3月期を予測期間とした。



4~6月期は景気悪化映して23.3%減


 19年度の広告費は1.7%減少した。19年10月の消費税率引き上げをきっかけに消費が減退したことが主な要因だが、最も売上高が大きくなる3月に新型コロナの影響が広がり、企業が広告出稿に慎重になったことも影を投げかけた。広告費は3年連続のマイナスとなり、17年度の0.7%減、18年度の0.6%減と比べて減少率は拡大している。


 4月に緊急事態宣言が発令され、外出が制限されたことで、新型コロナの経済への影響は一段と強まった。キャンペーンのキャンセルや延期に動いた企業が多かった。この結果、4~6月期の広告費は23.3%という大幅な減少に見舞われた。四半期ベースでこれまで最も減少率が高かったのは、リーマンショック後の09年4~6月期に記録した17.5%減少で、今回はこれよりも悪化することになる。


 ただ、5月下旬に緊急事態宣言が全面解除され、経済活動が動き始めたことで、企業の広告出稿も落ち着きを取り戻し始めている。7~9月期の広告費は10.4%減少と、4~6月期と比べて減少率を急速に縮め、10~12月期以降もゆるやかながらマイナスを縮小していく。20年度の広告費は13.0%減が見込まれる。ただ、新型コロナ感染の第2波、第3波が来れば、再び経済活動が滞り、企業の出稿意欲が弱まる恐れはある。


 媒体別にみると、20年度のテレビ広告は14.8%減が見込まれる。東京五輪・パラリンピックの開催が21年に延期になり、タイム広告の増加は期待しにくくなっている。マイナス分をスポット広告でどれだけ埋められるかがカギとなるが、交通・レジャーや自動車・関連品といった業種の広告需要が大幅に落ち込んでいる。ラジオ広告はプロ野球の開幕が遅れ、タイム広告の減少につながった。相次ぐイベントの中止・延期により、告知のためのスポット広告も減り、20年度は13.7%減少の見通し。


 新聞広告も交通・レジャーや自動車・関連品が大幅な落ち込みをみせている。4月以降、情報・通信や薬品・医療用品などは伸びているが、全体の落ち込みは補えない。全国紙、ブロック紙、地方紙とも落ちてきている。20年度は19.5%の減少が見込まれる。雑誌広告は20年度に23.5%減る。媒体の中では最も減少率が高い。新型コロナの感染が拡大する中、出版社は一部雑誌の刊行延期を余儀なくされ、書店も休業や時短営業に踏み切った。コミックス(単行本)を除けば、雑誌の販売金額は落ち込んでおり、広告も厳しい環境が続く。



インターネットは0.5%とプラスを確保

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 インターネット広告は20年1~3月期に1.0%の減少となり、06年に特定サービス産業動態統計調査で発表が始まってから、初のマイナスを記録した。他の媒体と比べれば、減少率は小さいものの、4~6月期も10%の減少が見込まれる。コロナの影響が広がり、ネット広告も景気動向の影響を受けやすくなっているという見方が業界内で聞かれる。これまでは独自要因で成長してきたが、広告支出額の比較的大きい国内有力企業が、広告媒体として活用することが一般的となり、景気変動に応じて、出稿調整がされやすくなっている面がある。


 その一方、コロナで外出自粛が定着する中、生活者の行動パターンが変わり、巣ごもり消費に照準を合わせて成長している企業もある。そうしたオンラインでの様々なサービスを提供している会社は業績も良く、ネット広告の出稿にも意欲的だ。広告会社も顧客ターゲットを伸びている企業に絞りこんでいるようだ。


 今春から次世代通信規格「5G」の商用化が始まった。今後、ネット広告をけん引するのは動画広告で、企業は動画広告へ一段とシフトしている。こうした通信環境の進展も追い風に、20年度は厳しい状況ながら、ネット広告は0.5%増とプラスの伸びを見込む。


 交通広告はここ数年、比較的安定した成長を示していた。しかし、4月以降は外出制限により、交通機関の利用客が急激に減少したため、企業から広告出稿の取りやめや延期が相次いだ。経済活動の本格化につれて、7~9月期からは広告需要も徐々に戻り、20年度は13.0%減少が見込まれる。


 折り込み・ダイレクトメールは4~6月期に40%減る見込みで、コロナの影響を最も大きく受けたといえる。折り込み枚数は全体の半数を占める流通業をはじめ、サービス、不動産などの主力業種が振るわない。DMは自動車ディーラー、百貨店が大幅に減るが、通信販売が下支えをする。20年度の折り込み・DMは19.5%減少する見通し。


 予測値は日経広告研究所と日本経済研究センターが共同で開発した「広研・センターモデル」を使って算出している。広告費は国内景気の動きに相関すると前提し、財務省発表の「法人企業統計」の経常利益と内閣府発表の名目国内総生産(GDP)の2つを説明変数として選択、このモデルに日本経済研究センターが予測している経常利益と名目GDPの伸び率を当てはめて予測値を算出している。テレビ、新聞、雑誌、ラジオのマス4媒体や、交通、折り込み・ダイレクトメール、SP・PR・催事企画、インターネットの各媒体の伸び率は広告費全体の動きから予測している。


※「会員専用ページ」で、四半期ごとの媒体別広告費の伸び率や「広研・センターモデル」のベースとなる景気予測を盛り込んだ詳細版(PDFファイル)を近日中に公開します。



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