調査・研究

2019年度広告費予測を見直し(概要版)

2019-07-24 調査 広告費の伸び、横ばいを維持 リスク要因多く、企業は慎重姿勢に 【詳細版は会員専用ページにて公開しています】

今回から「SP・PR・催事企画」も予測


 日経広告研は毎年2月に翌年度の広告費予測を発表し、7月時点で予測数字を見直している。経済産業省が毎月発表している「特定サービス産業動態統計調査」の広告業売上高を広告費の基本データとして活用し、四半期ベースで予測している。今回は19年4-6月期~20年1-3月期を予測期間とした。今回から、「SP・PR・催事企画」を予測する媒体項目に追加した。


 米中貿易摩擦が激化したことから、18年度下期の広告費は0.7%減り、上期の0.4%減と比べて減少率が高まった。19年度に入っても世界景気への不安はくすぶっており、4~6月期は0.9%のマイナスが予想される。


 ただ、10月からの消費税率の引き上げを前に、7~9月期は消費の駆け込み需要が発生するとみられ、広告費もそれに伴って2.1%増えると予測している。その反動で10~12月期は落ち込むものの、消費需要の回復を狙ったキャンペーンも盛んになり、20年1~3月期は若干、伸びが戻る見通し。東京五輪・パラリンピックへの期待も広告需要を下支えする。この結果、年度全体でみると19年度は横ばいが予想される。


 媒体別にみると、マス4媒体の中では雑誌広告の落ち込みが最も大きく、8.4%の減少となる見通し。出版社がインターネット広告を伸ばすことで、紙媒体の落ち込みを和らげようとしている面も一部影響している。新聞広告は4月の統一地方選や7月の参院選に加え、5月の改元に伴う広告需要があり、19年度は5.7%減と、前年度よりも減少率が縮小する見通し。



インターネット広告は7.2%の高い伸び


 テレビ広告は日本で初めて開催される9月のラグビーワールドカップ(W杯)の広告需要に期待がかかるが、18年のサッカーW杯に伴う特需がなくなるのはマイナスとなる。企業収益の弱含みにより、スポット広告の伸びが鈍化しており、19年度は1.0%減の見込み。ラジオ広告は前年度の5.5%減から19年度は2.0%減へと減少率が低下する。一部業種の出稿増加が期待されている。


 インターネット広告は7.2%増と、前年度の7.4%並みの伸びを維持する。ターゲティング広告が主流のため、景気動向の直接的な影響を受けにくいという事情もある。デバイス別ではモバイル、種類別では動画がけん引している。交通広告はデジタルサイネージの需要が見込まれ、1.1%増と着実な伸びを確保する。折り込み・ダイレクトメールは4.4%減の見込み。折り込みは枚数減少基調が続くと予想される。SP・PR・催事企画は4.9%減を予測する。


 広告費は日経広告研と日本経済研究センターが共同で開発した「広研・センターモデル」を使って予測している。広告費の動きは国内景気の動向によって説明できると仮定し、財務省発表の「法人企業統計」の経常利益と、内閣府発表の名目国内総生産(GDP)の2つを説明変数に選び、このモデルに日本経済研究センターが予測している経常利益と名目GDPの伸び率を当てはめ、予測値を算出する。各媒体の伸び率は広告費全体の動きから算出している。


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