SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりなどを背景に、人や社会・環境に配慮した消費行動「エシカル消費」が注目を集めている。日本公認会計士協会兼第二東京弁護士会調査室の弁護士である山下瞬氏はアンケート調査で、企業のエシカルな取り組みが、エシカル消費への関心の高さを問わずにブランドとの結び付きを強めることを明らかにした。
トレンド(詳細は会員専用)
-
2024年03月
エシカルな取り組み、ブランドとの結び付きを強める 弁護士 山下 瞬
-
2024年02月
「アンバサダー・プログラム」は、クチコミ創出に効果がある 東京工科大学 藤崎 実
化粧品、IT(情報技術)など様々な企業で自社ブランドのファンを組織化し、クチコミを創出するアンバサダー・プログラムを運営している。東京工科大学メディア学部の藤崎実准教授は、家庭用電化製品メーカーのアンバサダーを対象にアンケート調査を実施し、アンバサダー・プログラムがクチコミを創出し、ブランド・ロイヤルティを高めて反復購入を促すことを明らかにした。
-
2023年12月
バレエの活性化、娯楽性がある演目を身近な場所で 西岡・福谷バレエ団 上嶋 啓悟
バレエは幅広い年齢層に受け入れられているが、鑑賞者は減少傾向にある。一般社団法人西岡・福谷バレエ団の上嶋啓悟マーケティングマネージャーは、鑑賞行動に経験価値がどう影響しているかを分析し、娯楽性があって一般に馴染みのある物語を演目とし、神社仏閣など気楽に立ち寄ってもらえる場所で公演することが鑑賞者を増やす一助となることを明らかにした。消費財などの市場分析に広く応用できる分析手法を用いている。
-
2023年11月
DAO型マーケティング、コミュニティは有機的に成長 明海大学講師 小谷 恵子
NFT(非代替性トークン)を利用したコミュニティづくりが活発化してきた。明海大学経済学部講師の小谷恵子氏はその特徴を、ユーザーがバーチャルな存在のまま自主的に経済活動に関わっていくDAO(分散型自律組織)型マーケティングと分析した。ブランドが生活に入り込み、メンバー同士が相互に学び合い影響し合っている。企業が主導する従来の顧客コミュニティに大きな変革を迫りそうだ。
-
2023年10月
インフルエンサーの広告投稿、消費者の不信感を緩和 横浜商科大学准教授 渋瀬 雅彦
広告であると明示されたインフルエンサーの投稿は、消費者行動にどのような影響を与えるだろうか。横浜商科大学商学部観光マネジメント学科の渋瀬雅彦准教授は、Instagram上でのインスタント食品を対象としたアンケート調査によって、インフルエンサーの商業的意図を開示する便益タグは広告認識に影響せず、不信感を直接に減らす効果があることを明らかにした。
-
2023年09月
販売終了までの残り時間、期間限定商品の購入意欲に影響 高崎経済大学准教授 三富 悠紀
期間限定商品の販売終了までの残り時間は、消費者の購買意欲に影響を与えるのだろうか。高崎経済大学経済学部経営学科の三富悠紀准教授は、スニーカーを分析対象としてアンケート実験をし、販売終了までの残り時間がほとんどない状況では、消費者は時間圧力を強く感じ、期間限定商品に対する希少性を高め、購買意欲が高まることを明らかにした。
-
2023年08月
人生の残り時間が長いと感じる女性は、非消耗品の支出を控える 高知大学講師 磯田 友里子
どのような条件や意識がシニア層の消費に影響を与えるのだろうか。高知大学人文社会科学部講師の磯田友里子氏は、人生の残り時間への知覚である「未来展望」と、将来と現在の自分との心理的なつながりである「将来自己連続性」とが非消耗財の購買にどのように影響するかを分析した。その結果、購買活動がもっとも活発なのは「将来の自分とのつながりは強いが、残された時間は長くないと感じているシニア女性」であることを明らかにした。
-
2023年07月
エンゲージメント、満足度とロイヤルティを経由し購買行動に影響 同志社大学教授 髙橋 広行
ブランドと消費者との関わり合い(エンゲージメント)に注目が高まっている。同志社大学商学部の髙橋広行教授は、消費者の心理面でのデータにSPA(製造小売業)の購買行動データを組み込んで、エンゲージメントが購買に及ぼす影響を分析した。消費者のアプリ活用状況もモデルに取り入れた。エンゲージメントが満足度とロイヤルティを経由して、購買行動に影響していることなどを明らかにした。
-
2023年06月
推し活は幸福度を高める 甲南大学准教授 青木 慶
自分の好きな人物やキャラクターを応援するためにコンサートに行ったりグッズを買ったりする「推し活」は、タイアップ広告などで企業キャンペーンに幅広く取り入れられている。甲南大学マネジメント創造学部の青木慶准教授は、推し活を活動内容と頻度で4つに分類し、日ごろ活動に熱心な人ほど持続的幸福度が高くなることを明らかにした。
-
2023年05月
視覚的なぬくもりは購買意欲を高める 千葉商科大学准教授 西井 真祐子
マーケターは、消費者に企業や製品に共感してもらえるように、さまざまな感覚に訴える情報を提供している。「ぬくもり」は消費者の感情を揺り動かす有効な切り口だが、直接に製品に触れさせなければ情報を伝えられないのだろうか。千葉商科大学商経学部の西井真祐子准教授は、ぬくもりを感じやすい素材を使った製品を見ることからも、消費者の購買意向が高まることを確認した。コロナ感染を回避する生活が続く中で、孤立感を抱きがちな消費者に寄り添って信頼を得ていくアプローチにつながりそうだ。
-
2023年04月
SNSのスタッフコーデ、消費者の満足感向上に効果 大妻女子大学教授 吉井 健
アパレル企業はリアル店舗とEC(電子商取引)を融合させたオムニチャネル戦略の一環として、アパレル販売員を活用したSNSプロモーションを活発化させている。大妻女子大学家政学部被服学科の吉井健教授は、情報探索と購買方法で消費者を3タイプに分類したうえで、SNS情報が充実すると、いずれのタイプの消費者に対しても販売促進効果を高めることを明らかにした。
-
2023年03月
Twitter愛好者はオタク系、Instagram愛好者はアウトドア系 中央大学教授 松田 美佐
文字を中心とするTwitter愛好者と写真や動画を中心とするInstagram愛好者とでは、意識や行動に違いがあるのだろうか。中央大学文学部の松田美佐教授が20歳を対象に調査したところ、Twitter愛好者は趣味がマンガやゲームで性格は内向的、Instagram愛好者は趣味がファッションや旅行で性格は外交的だった。ただ、交友関係や価値観に大きな違いがないことも考慮すべきだとしている。
-
2023年02月
アニメ聖地巡礼者の地域への関与度と行動動機―なぜ彼らはその地に行くのか 関東学院大学教授 岩崎 達也
映画、アニメなどの舞台を訪れる聖地巡礼が注目を集めている。政府も地域振興に役立てようと調査や施策を検討している。関東学院大学経営学部の岩崎達也教授は、聖地巡礼者について調査・分析し、自分の生き方を考えたり、他人に承認されたりしたいという動機が背景にあることを明らかにした。コンテンツを活用することで、聖地のある地域への複数回の来訪や移住を促す可能性があるとしている。
-
2022年12月
中国人消費者の「観光土産品のリピート購買(連鎖消費)」促進のためのマーケティング・コミュニケーション 桃山学院大学教授 辻本 法子
外国人の入国規制が緩和され、中国人のインバウンド観光が復活しそうだ。訪日旅行者から観光土産を受け取った中国人がオンラインショップなどでリピート購入すれば、観光土産の需要拡大が期待できる。桃山学院大学経営学部の辻本法子教授は、訪日経験とブランド認知の有無で受け手を分類し、SNSで情報発信したくなる商品パッケージの開発などを提案している。
-
2022年11月
ライブコマース、短い時間で引き付ける動画がポイント KDDI総合研究所 新倉 純樹
インターネットのライブ配信で商品を販売する「ライブコマース」が注目されている。KDDI総合研究所シンクタンク部門の新倉純樹コアリサーチャーは、ライブコマース利用者の特徴を6つの意識項目で分析した。利用者はライブ感を楽しむのが好きで、隙間時間によく視聴し、衝動買いしやすい傾向があることが明らかとなった。
-
2022年10月
クッキーレスとインターネット広告(下)クッキーレス時代にとるべき対応策 野村総合研究所 名取渚子氏
近年、インターネット広告に影を落とす問題として、クッキーレスが話題になっている。本レポートの第1回では、クッキーレスがインターネット広告にもたらす影響や、完全な代替策がないことについて述べた。第2回では、クッキーレス環境下において、企業がインターネット広告に対する考え方をどのように変えていくべきか、対応策について紹介する。
-
2022年09月
クッキーレスとインターネット広告(上)クッキー規制の背景 野村総合研究所 名取渚子氏
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、インターネット通販やWeb動画の利用が増大している。インターネット広告費は2021年に、マスメディア4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)を初めて上回った(電通「2021年日本の広告費」より)。しかし近年、インターネット広告に影を落とす問題として、クッキーレスが話題になっている。これまでインターネット広告の効果分析や効率的な広告配信は、クッキーによってユーザーを識別することで行われてきた。そのクッキーがプライバシー保護を重んじる世界の趨勢として、取得できなくなる。つまり、クッキーレス時代の到来である。本レポートでは、クッキーレスの背景やインターネット広告にもたらす影響と、その対応策について、2回に分けて紹介する。
-
2022年08月
ファッション化されたエコバッグは環境配慮行動を促進するか? 京都橘大学健康科学部 前田洋光准教授
スーパーなどでレジ袋が有料化され、エコバッグを持ち歩く人が増えた。環境保全に対する意識の高さを周囲にアピールするかのような、しゃれたデザインのエコバッグも目立っている。京都橘大学健康科学部心理学科の前田洋光准教授は、ファッション化されたエコバッグが環境に配慮した行動を促す傾向があるとしたうえで、ゴミ問題の責任は自分にはないという「消費者責任の否認」も強める可能性があるとしている。
-
2022年07月
動画広告、エシカル消費の低関心層に効果的 専修大学商学部 増田 明子教授
人権擁護、環境保護など社会的課題を結び付けて商品・サービスを購入するエシカル消費が話題となっている。一方、効果的な広告訴求として、ネットを中心に動画広告が拡大している。専修大学商学部の増田明子教授は、動画広告がエシカル消費にどのような影響を与えるかを調査した。その結果、動画広告は感覚的でシンプルな意思決定を促すため、エシカル消費への関心が低い層に効果的であることが明らかとなった。
-
2022年06月
アフターコロナに有効な購買・予約のEC環境設計 高千穂大学准教授 永井竜之介
コロナ禍でEC(電子商取引)が拡大した。ECの利便性に慣れた消費者は、コロナが収束してもEC利用を減らさないだろう。物販に加えて、旅行、外食の予約などでもECの利用が活発化する。永井竜之介高千穂大学商学部准教授は、消費者のECでの意思決定について、悩まずに決めさせてくれる「コンシェルジュ型」と、迷うことを楽しませてくれる「脱出ゲーム型」に二極化していると分析する。ECの環境設計では、どちらのタイプとするか明確にすべきだとしている。
-
2022年05月
自伝的懐かしさ、商品の購入判断に影響 県立広島大学教授 向居 暁
テレビCMで若いときの流行歌やニュース映像が流れ、思わず見入ってしまった経験があることだろう。県立広島大学地域創生学部の向居暁教授は、懐かしさ感情を自分の経験に基づく「自伝的懐かしさ」と、社会や文化を背景にした「文化的懐かしさ」に分けて、購買行動への影響を調査した。「文化的懐かしさ」はターゲット層を広げやすいが、「自伝的懐かしさ」のほうが購買意欲を刺激する可能性があるとしている。
-
2022年04月
アスリート広告、ブランド拡張にも有効 國學院大學准教授 備前 嘉文
東京五輪、北京冬季五輪などアスリートの活躍が注目され、広告への起用も活発化しそうだ。國學院大學人間開発学部健康体育学科の備前嘉文准教授は、アスリートの知名度の高さ、人物のイメージが製品やブランドの特徴に合致すれば、高いマーケティング効果が期待できるとしている。アスリートの起用に際しては、ブランド管理のために十分な話し合いをしておくことが大事だと見ている。
-
2022年03月
コミュニティの規範がファンを引き付ける 流通科学大学准教授 羽藤 雅彦
企業は顧客生涯価値に注目して、消費者をファンとして囲い込むコミュティづくりに力を入れている。コミュニティには独特のルール「規範」が生じて、ブランドやコミュニティに対する態度に影響を与えると考えられる。流通科学大学商学部マーケティング学科の羽藤雅彦准教授は、規範がコミュニティへの一体感の程度にかかわらず、ブランドやコミュニティへと結びつきを強めることを明らかにした。企業は規範を過度に心配せずに、コミュティ運営を進めるべきだとしている。
-
2022年02月
SNS時代の動画広告、物語性で高まる訴求力 亜細亜大学専任講師 福田 怜生
新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅時間が長くなり、ネットでの動画広告が注目を集めている。亜細亜大学経営学部専任講師の福田怜生氏は、物語広告は比較的長い秒数が必要だが、商品説明に重点を置いた情報提供広告に比べて広告評価が高いことを明らかにした。SNSが普及し、企業は安く動画広告を出せるようになっており、物語広告の効果に注目すべきだとしている。
-
2021年12月
SNS時代の苦情行動と対策 関西大学教授 池内 裕美
生活者がSNSで情報を発信するようになって、商品に対する不平不満が企業経営を揺るがす例も出てきた。関西大学社会学部の池内裕美教授は、苦情投稿の背景には社会に注目されたいという承認欲求などがあるとしている。企業が不満を恐れて商品の品質を高める結果、生活者の商品に対する期待が高まり、さらに不満を招くという苦情のスパイラルに陥る。企業は苦情が発生した場合、事実を確認するとともに、謝罪など迅速な対応が必要だと結んでいる。
-
2021年11月
パーソナルデータ、利用促進のカギは経済的価値への向き合い方
私たちは個人情報を企業に提供することで、「おすすめ商品」を紹介してもらったり、関連広告を受け取ったりして、消費生活を充実させている。それでは個人情報には、どれくらいの経済価値があるのだろうか。静岡大学学術院情報学領域の高口鉄平教授は、個人情報の個別の経済価値を明示することはできないが、近年では価値を測る試みもなされており、また政府が展開する「情報銀行」では、提供によってどんなメリットが還元されるかが明確となり、個人が価値を実感しやすくなるとしている。
OPEN